冠攣縮性狭心症においても労作性狭心症においても、発作を始めて経験した人の多くが「何の前兆もなく急に痛みが走った」と語ります。確かに狭心症の多くは、少なくとも患者の自覚の中では、前兆なく突如として起こる発作。しかしながら、発作が治まってから医師に「事前にこんな症状はなかったか」と前兆症状を尋ねられると、これに心当たりのある患者も少なくないようです。ここでは、冠攣縮性狭心症の前兆、発作が起きやすいタイミング、発作を予防する方法などについて詳しく解説します。

冠攣縮性狭心症の前兆

最初に断っておきたいのが、ほとんどの冠攣縮性狭心症には前兆がないということ。厳密に言えば様々な前兆が挙げられるのですが、患者本人にとって自覚のない前兆は、実質的に前兆と言うことはできないでしょう。医師ですら、患者の狭心症の前兆を見つけることは難しいとされています。まずはこの考えを前提においた上で、以下では狭心症の前兆を確認してみましょう。

肩や腕に違和感を覚える
肩や腕に違和感を覚えることがあります。痛みにも近い感覚ですが、耐えられないような痛みではありません。中には、普段よりも肩こりを強く感じる人もいるようです。
胃がむかついたり吐き気がしたりする
胃のむかつき、吐き気などを自覚する人もいます。狭心症ではなくとも、普段から同様の自覚症状は珍しいものではないため、狭心症の前兆と疑う人はほとんどいないでしょう。
冷や汗が出る
痛みと言えるほどではない軽度の発作が起こっている際、中には冷や汗が出てくる人もいます。
胸に違和感がある
前兆とも言えるべき軽度の発作が起こっている際、胸に違和感を覚える人もいます。痛みと言うほどの症状ではありません。中には「初めて経験するような何とも言えない気持ち悪い感じ」と言う人もいます。

就寝中、朝方に胸の違和感で目覚める人もいます。

胸の違和感が繰り返す
上記のような胸の違和感が繰り返された場合、近い将来、本格的な狭心症の発作を起こす恐れがあります。早めに医療機関を受診するようにしてください。
奥歯が痛む
狭心症の前兆、または痛みのない狭心症の症状の一つとして、奥歯の痛みを自覚することがあります。歯科医院で診てもらっても歯に異常がない場合、狭心症の前兆も疑われます。
下アゴから喉にかけて違和感がある
軽度の狭心症(狭心症の前兆レベル)を生じた時、下アゴから喉にかけて違和感を覚えることがあります。痛みを自覚する人もいるようです。

冠攣縮性狭心症の発作はどんな時に起きやすいのか

冠攣縮性狭心症は、基本的に安静時に発作を起こします。寝ている時や、寝起きに軽作業をしている時などのタイミングで発作を起こすことが大半です。

一方で、日中に冠攣縮性狭心症を起こすことはほとんどありません。いかに激しい動きをしていたとしても、日中に冠攣縮性狭心症を発症することはほぼない、とされています。

ただし実際には、冠攣縮性狭心症を有する患者の中には、日中に労作性狭心症という別の種類の狭心症発作を起こす人も少なくないことから、両者を明確に区分することはできない、とする説もあります。

以下、冠攣縮性狭心症に関わらず、広く労作性狭心症も含めて「発作が起こりやすいタイミング・誘因」について列挙します。

強いストレスを感じた日
強いストレスを感じた日に狭心症の発作が起こりやすいとされています。特に、帰宅してストレスから解放され、ホッとしている時に発作が起こりやすいことが指摘されています。
体を動かしている時
特に労作性狭心症は、体を動かしている時に発作を生じます。スポーツをしている時、肉体労働をしている時、階段を上る時、走った時、買い物をしている時、掃除をしている時、布団の上げ下ろしをしている時、性交をしている時、などです。
気温が低い環境下
気温が低い環境が誘因となり、狭心症の発作を起こすことがあります。冬、自宅でトイレに移動する時、暖まった自宅から寒い外へ出る時、寒風に吹かれている時、などです。
緊張・興奮している時
緊張や興奮といった精神的要因が、狭心症の誘因となる場合もあります。他人と口論している時、スポーツなどを見て気持ちが盛り上がっている時、ゴルフのパットを打つ時、精神的感動(喜怒哀楽)を強く感じた時、などです。
その他
上記以外にも、狭心症の発作を起こしやすいタイミングは様々あります。深夜の就寝中や明け方の目覚めが近い時(冠攣縮性狭心症)、本を読むなど安静にしている時、悪夢を見て目覚めた時、アルコールを多く飲んだ深夜や翌朝、などです。

冠攣縮性狭心症を防ぐための方法とは

冠攣縮性狭心症の発作を防ぐためには、日常の生活習慣に注意するしかないでしょう。具体的には、「禁煙」「栄養バランスの取れた食事」「適度な運動」「ストレスの解消」です。

禁煙

狭心症や心筋梗塞の既往歴がある患者においては、発作予防のために禁煙が必須項目となっています。喫煙が循環器系に大きな影響を及ぼすことが、明らかとされているからです。

まだ狭心症の発作を起こしていない人においても、当然、禁煙することが発作の予防に貢献します。

栄養バランスの取れた食事

欧米人に比べると、日本人には狭心症や心筋梗塞の症例が少ないとされています。その理由には、体質的なものもあると考えられますが、主として食生活の違いが指摘されています。

和食には、タンパク質、食物繊維、ミネラルなどが豊富。栄養バランスが取れており、かつ高タンパク低カロリーのメニューが中心のため、結果として狭心症や心筋梗塞の発症率を下げている、と言われています。

改めて、伝統的な和食を見直す食事を心がけていきましょう。

適度な運動

ウォーキングや軽い水泳、ゆっくりとしたジョギングなどは、狭心症や心筋梗塞の発症リスクを低下させることが分かっています。可能であれば、毎日30分程度、これら軽度の有酸素運動を行なうようにしてください。少なくとも週に3~4日は行なうようにしたいものです。

ただし、瞬発的な筋力を使う有酸素運動は、逆に発作を誘発する要因にもなりかねないので要注意。加えて、早朝や深夜の運動も発作の誘因となる恐れがあるため避けましょう。

主治医に相談し、状態に応じた運動メニューの指導を受けるようにしてみてください。

ストレスの解消

精神的なストレスが狭心症の誘因になることは、広く知られています。仕事でもプライベートでも、「焦らない」「怒らない」「明日できることは今日やらない」を基本に、ゆったりとした気持ちで毎日を過ごすようにしましょう。

副作用のない狭心症発作治療薬の可能性

従来からある狭心症の発作抑制剤は、飲めばすぐに発作は治まるものの、低血圧などの副作用のリスクがある点が問題でした。長きにわたり、より安全な治療薬の開発が望まれていましたが、昨今、ついに副作用がほとんどない狭心症の発作予防薬が開発されつつあります。

薬の主要成分は、私たちもよく目にしたことがあるEPA。青魚の脂分に多く含まれている成分です。

従来の薬の場合、攣縮を起こした血管に加えて、正常な血管にも作用が及ぶことが副作用の原因でした。一方でEPAは、攣縮を起こした異常部分に対してのみ作用が及ぶメカニズム。山口大学の小林誠教授らのグループが発見した作用でした。

抽出の過程で分子構造が壊れやすいとされるEPA。小林教授らのグループは、この問題点も解消する特殊な製法の確立にも成功。今後、小林式EPAは冠攣縮性狭心症の主要な予防薬となりうる可能性があるでしょう。

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