冠攣縮性狭心症を予防するには?

冠攣縮性狭心症の原因

冠攣縮性狭心症とは、冠動脈の一部がけいれんを起こすことで血管が急に縮んで血流が悪くなり、心筋に酸素を送ることができなくなる症状です。男性に起こりやすいとされていますが、なぜ冠動脈のけいれんが起こるのか、はっきりとした原因はわかっていません。

現在考えられている冠攣縮性狭心症の誘発要因としては、喫煙やアルコールの飲み過ぎ、不眠やストレスなどが挙げられています。日本人における冠攣縮性狭心症は欧米人と比較すると3倍の発症率とされており、予防に努めることが重要と言えそうです。

具体的な予防方法

冠攣縮性狭心症を予防する方法としては、処方薬での対応や誘発因子を避ける、EPAの摂取によって血管の異常収縮を抑えるという方法が考えられます。

医師の処方薬

冠攣縮性狭心症と診断された場合、医療機関で発作を抑えるための薬が処方されます。「硝酸薬」「Ca拮抗薬」「ニコランジル」「β遮断薬」のほか、ビタミンや抗酸化薬、エストロゲンなども冠攣縮の抑制に有効な可能性があるとされています。

硝酸薬

発作予防として薬を用いる場合には「長時間作用型硝酸薬」が有効とされています。ただし、使用する際には硝酸薬の血中濃度が一定の場合に耐性が生じやすいため、休薬時間を設けることが必要です。

また、発作が起きる時間帯は夜間から早朝が多いと言われています。そのため、この時間帯に硝酸薬の血中濃度が維持できるよう、投与のタイミングや投与量を慎重に決定する工夫が必要です。

なお、発作が起きてしまった場合には「ニトログリセリン」や「硝酸薬(速効性硝酸イソソルビドなど)」が用いられます。舌下錠またはスプレーの口腔内噴霧で服用しますが、スプレーの場合は、口腔内が乾燥している場合や意識レベルが低下している患者への使用も可能です。

通常は投与から1分から3分で発作が消失しますが、投与から5分経過しても効果が見られない場合にはさらに薬を追加(1錠または1噴霧)。経口投与で発作が治らない場合には静脈内投与を行う必要があります。

Ca拮抗薬

冠攣縮には血管平滑筋の過収縮が関連していると考えられています。この平滑筋細胞の収縮は、細胞内Ca濃度の上昇によるものだと言われており、この調節機構には「Rhoキナーゼ」が関与していることがわかっています。Ca拮抗薬はRhoキナーゼを抑制する効果が示唆されており、冠攣縮を抑制できることが認められています。

Ca拮抗薬は種類や作用時間に関わらず、通常量の使用を行っていれば副作用も少なく、安全に使用できる薬剤と言われています。ただし、長期間Ca拮抗薬の投与を中止した場合には「リバウンド現象」と呼ばれる症状の増悪が報告されているため、中止や薬の減量を行う場合には段階的な減量が必要です。

ニコランジル

日本で開発されたニコチン酸アミドの誘導体で、選択的な冠動脈拡張作用と、抗冠攣縮作用を持っています。血圧や心拍数、心機能に対する影響が少ないことが特徴で、徐脈や血圧が低い場合にも投与が可能です。さらに、高用量の投与を行った場合にも、血行動態には影響が少ないと言われています。

従来から使われてきた硝酸薬作用に加え、Ca拮抗薬とも異なる薬理作用を持っているため、Ca拮抗薬に抵抗性を持つ冠攣縮性狭心症に対して併用することで、その効果が期待できます。

β遮断薬

心拍数や血圧を抑制し、心筋の酸素消費量を低下させて抗狭心効果を発揮するものです。そのため、酸素需要が増えることが原因の心筋虚血が見られるケースに対して適用されます。

ただし、従来の非選択的β遮断薬は、総体的にα受容体が優位となるため冠攣縮性狭心症を悪化させてしまいます。そのため、冠狭窄病変が併存するためにβ遮断薬を使用する場合には、長時間型Ca拮抗薬の併用が推奨されます。

指摘されている誘発因子を避ける

冠攣縮性狭心症と診断された場合には、生活の改善も重要です。例えば、誘発因子と考えられている喫煙やアルコール、過労、ストレス、不眠などを避けるようにしましょう。

喫煙

喫煙は冠攣縮性狭心症のリスクを高めると言われています。冠攣縮性狭心症は日本での発症頻度が高いと報告されていますが、これは喫煙率の高さがその一因であると考えられています。本人に喫煙習慣がある場合はもちろんですが、受動喫煙も発症に関連しているため、本人だけでなく家族や身近な人の禁煙も必要です。

過労・ストレス

過労やストレスも冠攣縮性狭心症の発症に関与していると言われています。また、過換気(精神的不安や緊張による過呼吸で、血液が通常よりもアルカリ性になってしまう状態)によっても冠攣縮が生じますが、大きなストレスがかかると過換気の状態を作りやすくなるため、それぞれに合ったストレス解消の方法を見つけることが大切です。

血管の異常収縮を抑える

山口大学大学院医学研究科教授である小林誠教授のグループでは、血管の異常収縮を特異的に阻害できる物質について研究を進めてきました。その研究の中で、魚油成分であるエイコサペンタエン酸(EPA)が、血管の正常収縮には影響を与えずに、異常収縮だけを阻害することを発見しました。

ただし、EPAは精製時に熱を加えることで立体構造が変化してしまうという特徴があります。小林教授らのグループは、その精製方法を見直すことで、生の青魚と同じ立体構造を保ったままEPAを抽出することに成功。この血管の異常収縮を抑制する効果を認められた成分は「小林式EPA」と名付けられ、特許も取得。

現在では小林式EPAを配合したサプリメントが販売されており、気軽に取り入れることが可能。この成分が、血管の異常収縮を阻害し、冠攣縮性狭心症の予防にも繋がると考えられています。

 

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