薬物治療

薬物療法は、血液や血管をコントロールして、心臓の力を強めたり、保護するために行う治療です。薬物を投与したり、服用して治療します。主な薬物には、冠動脈に詰まった血栓を溶かしたり、血栓ができにくくする血管拡張薬や抗凝固薬、動脈硬化を予防する高コレステロール治療薬や、高血圧を抑えるβ遮断薬などがあります。

 

薬物治療とは

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病状を緩和して
発作と再発を防ぐ

薬物療法の目的は、症状を和らげたり、発作を起きにくくしたり、再発を予防して病状を治癒に向かわせることです。比較的、軽度の心筋梗塞・狭心症に対して行われます。冠動脈内にできた血栓を溶かしたり、血栓をできにくくしたり、血管を拡張して血液の流れを促す薬が使われます。心筋梗塞・狭心症の引き金となる動脈硬化を予防するために、高血圧やコレステロールを安定させる薬なども組み合わせて処方します。

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3種類の薬に
再発防止効果がある

心筋梗塞に作用する薬は、血栓溶解薬・抗血小板薬・抗凝固薬の3種類です。血栓溶解薬は冠動脈に詰まった血栓を溶かすために使用します。抗血小板薬は、血栓溶解薬と似た働きがあり、血小板を固まりにくくします。抗凝固薬は、血栓を溶かして血流を促すために処方します。また狭心症の薬には、発作を抑えるニトログリセリン(硝酸薬)、血管を拡張して血圧を下げる、カルシウム拮抗薬やβ遮断薬などがあります。

 

薬物治療の方法

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基本は経口投与
抗凝固薬は点滴投与

薬物療法とは、一般的には経口投与薬を処方して、患者自身で服用・管理する治療法です。病院で行う場合は、ワルファリンやヘパリンなどの抗凝固薬を、点滴や注射で投与します。これらの薬は、血漿の凝固因子の働きに作用する、ビタミンKの働きを抑えて、血液が凝固するのを抑える働きがあります。また抗血小板薬よりも強い働きがあり、複数の薬を併用することで、より強力な凝固作用が期待できる場合もあります。

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狭心症の発作には
即効性がある硝酸薬

ニトログリセリン(硝酸薬)は、狭心症の発作時に服用する薬で、3種類あり、使用方法や効果が異なります。舌下錠は、舌の下に錠剤を入れて唾液で溶かして吸収する薬。スプレー薬は発作時に口の中にスプレーして使用します。いずれも即効性があり、服用と同時に発作が静まります。貼付薬・貼付薬(テープ薬)は効果がゆっくりです。貼付薬は歯ぐきに張り付けて唾液で溶かしたり、湿布薬のように体に貼って使用します。

 

薬物治療の利点

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改善・予防効果が高くて身体にも負担が少ない

薬物療法の大きなメリットは、患者の負担が少ないということ。薬を投与するだけなので、体への負担が少なく、入院の必要がありません。治療費負担も軽くてすむので、患者にとって取り組みやすい治療法といえるでしょう。症状や薬の種類にもよりますが、比較的即効性が高く、薬で進行を食い止められるという安心感も得られます。軽度の心筋梗塞・狭心症であれば、症状を止めたり、治癒を助ける充分な効果が期待できます。

 

薬物治療がおすすめのケース

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初期治療や病状が安定した人の治療効果を高める

薬物療法は、初期治療に使用する場合と、症状が落ち着いた後で治癒効果を高めるために薬を処方する場合があります。心筋梗塞を発症すると、早急に血流を回復させる必要があります。発症から6時間以内であれば、血栓溶解薬で血栓を溶かして、血流を回復させることができます。その後、カテーテル治療や外科手術などで、根本的な治療をして症状が落ち着いた後に、再発予防と病状を安定させるための、薬を処方します。

 

薬物治療の経過

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薬物療法+生活改善の見直し、長期服用で再発予防

薬物療法で処方するほとんどの薬は、複数の作用を合わせ持ち、症状や体質、合併症の有無などにより、処方されます。こうした薬は、長期的に服用することが望ましく、医師の指導のもと、正しく服用することで、安定した状態が保てます。心筋梗塞・狭心症は、生活習慣と密接な関係があり、薬だけに頼ろうとするのは危険です。食事や運動といった生活習慣を見直し、ストレスを受けない生活を心がけることで、再発を予防することができます。

 

 

薬物治療に関する不安・疑問

薬物療法は、入院の必要がなくリスクの少ない方法ですが、既往症や持病、体質などによって副作用はないのでしょうか。抜歯をするときは服用を一時中止したほうがいいのでしょうか。また薬を飲み忘れたら、どうなるのでしょうか。そんな薬物療法に関する不安・疑問についてお答えします。

 
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薬を1週間飲み忘れてしまいました。

心筋梗塞を起こした後に服用する薬は、主に血液凝固薬や抗血小板薬です。これらは、患者の血液凝固速度に合わせて処方されるので、途中で服用を中断すると非常に危険です。薬によって効果の期間は異なりますが、一般的には3日~1週間程度が目安です。極端かもしれませんが、たった1回飲み忘れただけでも大事に至ると認識しておく必要があります。薬の処方を受けたら、薬の効果について十分な説明を受け、必ず処方通りに服用してください。

 
 
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血液凝固薬を服用中に抜歯をしても大丈夫ですか?

血栓溶解薬・抗血小板薬・抗凝固薬などを服用していると、抜歯時に止血しにくくなります。だからといって、服用を一時中止すると、血栓ができやすくなり非常に危険です。日本循環器学会の「抗凝固・抗血小板療法ガイドライン」では「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」と明記があります。また服用中の薬によっては、抜歯時に使用する薬と相性が悪いものも…。あらかじめ服用中の薬を、歯医者にも伝えておきましょう。

 
 
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アレルギーの薬と一緒に服用しても大丈夫ですか?

薬を服用すると、血液と一緒に全身に回るので、アレルギーや特定の疾患があると、副作用が現れることがあります。薬の性質によっては、服用を開始した時点では、全く異常が現れなくても、飲み続けていくうちに、アレルギー症状が出てくることがあります。こうしたことを避けるためにも、医師に、既往症や持病、アレルギーの有無を伝えておきましょう。万が一、異常を感じたら、服用を中止して、すぐに医師に相談してください。

 
 

 

心筋梗塞・狭心症を予防
するためには?