黄砂が心筋梗塞の原因にもなる

急性心筋梗塞の知られざる前兆・きっかけとして、大陸から飛来する黄砂(こうさ)があることが判明しました。ここでは黄砂と心筋梗塞の発作との関係について、熊本大学を中心とする研究チームが公表したデータに基づいて解説します。

黄砂が飛来した翌日は心筋梗塞の発症リスクが高い

熊本大学、国立環境研究所、京都大学、工学院大学、国立循環器病研究センターの研究者が共同で、熊本県内における黄砂の飛来と急性心筋梗塞の発症との関連性を分析。その結果、黄砂が飛来していない日に比べ、飛来した日における急性心筋梗塞の発症率が有意に高いことが分かりました。特に慢性腎臓病を持つ患者における急性心筋梗塞の発症率が高いことを突き止めたのは、アジアで初めてとなります。

黄砂と急性心筋梗塞との関連を示す数値的根拠

共同研究チームは、2010年4月から2015年3月末までの5年間にわたり、熊本県内で急性心筋梗塞を発症した患者3,713人と黄砂飛来日との関係について調査。その結果、黄砂が飛来していない日の翌日に対して、黄砂が飛来した日の翌日は、急性心筋梗塞の発症率に以下のような違いが見られました。

・全体的な心発症率…1.46倍
・75歳以上の人の発症率…1.71倍
・糖尿病の人の発症率…1.79倍
・慢性腎臓病の人の発症率…2.07倍

他にも、高血圧の人、糖尿病を患う人、女性よりも男性などにおいて、黄砂と急性心筋梗塞との間に有意な違いが見られました。

黄砂が急性心筋梗塞を引き起こす仕組み

環境疫学的な分析において、黄砂と心筋梗塞との発症との関連性は明らかになりました。ただし、なぜ黄砂が心筋梗塞のリスクを高めるのかについては、まだ考察段階です。
研究を主導した熊本大学の小島特任准教授の考察によると、黄砂を吸い込むことによる体内での酸化ストレスや炎症などが心筋梗塞を誘発するのではないか、とのこと。黄砂には様々な汚染物質等が付着しているため、もともと心筋梗塞のリスクを持つ人にとっては、黄砂が発作のきっかけになる可能性もある、と准教授は指摘しています。