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肩から胸が痛いのは狭心症・心筋梗塞のサイン?

単純に「胸が痛い」という自覚症状であれば、狭心症や心筋梗塞を疑う人も多いでしょう。しかし「肩から胸が痛い」「胸と奥歯と背中が同時に痛い」など、胸とともに様々な場所が痛くなった場合、これを狭心症・心筋梗塞と疑う人は少ないかも知れません。しかしながら狭心症・心筋梗塞の痛みで多く見られる特徴に、関連痛というものがあります。胸の痛みと共に、他の場所(特に左側)に関連痛を生じた場合には、狭心症・心筋梗塞の恐れがあります。

肩から胸が痛い場合は狭心症・心筋梗塞の疑いあり

痛みの部位を脳が誤認する現象のことを、関連痛と言います。たとえば、かき氷を食べる時、主として冷痛を生じるべき場所は喉であるにも関わらず、脳が痛みの部位を頭部と誤認し、頭痛が起こります。これを関連痛と言います。各部位から脊髄へとつながる神経の束が隣接していることが関連痛の原因とも言われていますが、明確な原因はまだ分かっていません。

狭心症・心筋梗塞でも同様に、本来は胸部のみの痛みであるにも関わらず、脳が「左肩の痛み」と誤認し、胸と肩が同時に痛くなることがあります。あるいは、背中、喉、奥歯、腕、みぞおちなどに狭心症・心筋梗塞の関連痛を生じる場合もあります。

狭心症・心筋梗塞の関連痛の大半は、胸の痛みが拡大したような感じが生じます。「胸と共に別の部位も痛む」、あるいは「胸のあたりの漠然とした範囲が痛む」という症状です。

ただし中には、胸痛を伴わない息切れなどの症状のみが生じる例も少なくありません。胸の痛みがなく関連痛のみが生じるのは、女性、糖尿病患者、腎機能患者、高齢者、認知症患者などに多く見られる傾向があると言われています。

狭心症・心筋梗塞以外に考えられる病気

「肩から胸が痛い」など、関連痛を伴った胸痛を覚えたからと言って、かならずしも狭心症・心筋梗塞であるというわけではありません。先のかき氷の例のように、関連痛は様々な要因によって生じるためです。狭心症・心筋梗塞とは別の主因における胸痛・関連痛には、主に以下のものが考えられます。

胸膜炎

  • 症状

    不快感程度のものから激痛まで、胸に突然起こる痛みを自覚します。そのほか、発熱や咳、息切れ、呼吸困難、動悸、悪寒、全身倦怠感などの症状が見られることもあります。

  • 原因

    細菌感染や結核、がんなどの炎症が胸膜を刺激して発症します。肝硬変や心不全、アスベストなど、肺疾患以外による胸膜の刺激が原因で発症することもあります。

  • なりやすい人の傾向

    感染症や結核、がんなどを発症している人は、胸膜炎になりやすい傾向があります。

  • 治療法

    原因に応じた治療を行います。細菌感染が原因であれば抗菌薬を、がんが原因であれば抗がん剤を投与します。感染症による胸膜炎は予後良好ですが、がんによる胸膜炎は予後不良です。

  • 予防法

    感染症や肺がんを予防することが、胸膜炎を予防する何よりの方法です。手洗い、予防接種、禁煙など、さまざまな手段で肺を守る行動をしていきましょう。

肺気胸

  • 症状

    突然起こる胸の痛み、急な咳、呼吸のしにくさ、息苦しさなどが主な症状です。肺から抜けた空気が心臓を圧迫した場合、血圧低下からショックを誘発することがあります。

  • 原因

    多くの場合、肺気胸の原因は不明です。肺の一部がブラと呼ばれる風船状となり、何の前触れもはく破裂します(自然気胸)。そのほか、折れた肋骨が肺に刺さって起こる外傷性気胸や、女性の子宮内膜症を原因とした月経随伴性気胸などがあります。

  • なりやすい人の傾向

    もっとも多く見られる自然気胸は、一般的に10代後半から30代の痩せ型の男性に発症しやすいと言われてます。

  • 治療法

    症状の程度に応じ、安静のみで経過観察する場合や、胸に管を指して空気を抜く場合、胸腔鏡手術や開胸手術を行う場合があります。

  • 予防法

    肺気胸は再発しやすい病気ですが、効果的な予防法が確立されているわけではないので、通常通りに過ごしてください。ただし、喫煙は再発のリスク要因にもなりかねないので、禁煙することが望まれます。

肋骨骨折

  • 症状

    重度の胸の痛みを生じます。深呼吸した時や体を反らした時には、特に強い痛みを生じます。皮下出血をともなうこともあります。

  • 原因

    転落や交通事故、スポーツなどにおける胸の強打により生じます。骨粗鬆症が進んだ高齢者の場合には、軽い転倒で肋骨を骨折することもあります。大きなくしゃみを繰り返している間に肋骨骨折を起こす人もいます。

  • なりやすい人の傾向

    骨粗鬆症の人や、胸を強打する恐れのあるスポーツをやっている人、筋力が低下して転倒しやすい高齢者などにおいて、肋骨骨折が多く見られる傾向があります。

  • 治療法

    バストバンドと呼ばれる固定帯を2~3週間ほど装着し、消炎鎮痛薬を内服したり、湿布を貼ったりして経過を観察します。手術が必要な重症例でもない限り、多くの場合は数週間で軽快します。

  • 予防法

    骨粗鬆症などで骨が弱っている人や高齢者などは、転倒しないよう細心の注意を払って過ごすようにしましょう。動線に手すりを付けるなど、バリアフリー工事を行うのも転倒防止に有効です。

逆流性食道炎

  • 症状

    胸が締め付けられるような痛み、胸やけ、酸っぱい味、口内炎、咳、喘息、胸部違和感・不快感、のどの違和感など、さまざまな症状が見られます。

  • 原因

    加齢や食事の内容、姿勢、肥満などにより、胃と食道の境目にある下部食道括約筋が上手に働かなくなることが原因です。また、何らかの原因によって胃酸が増えすぎることも、逆流性食道炎の原因となります。

  • なりやすい人の傾向

    食後にすぐに横になる人や、前かがみの姿勢が多い人に好発する傾向があります。また、アルコールやコーヒー、炭酸飲料、たばこ、酸っぱい食べ物、甘い食べ物、炭水化物、油の多い食べ物などを好む人にも、逆流性食道炎の傾向が見られます。

  • 治療法

    症状の程度や発症頻度などに応じ、生活指導、薬物療法、外科的治療などが選択的に行われます。胃酸の分泌を抑制する内服薬の処方が、逆流性食道炎の治療の主流となっています。

  • 予防法

    上記「なりやすい人の傾向」を基準とし、食事や生活習慣を改善していくことで予防を目指します。

心因性の疾患

  • 症状

    胸が押しつぶされるような痛み、激しい動悸、息苦しさなどが生じます。人により、数分で症状が治まることもあれば、数時間も症状が続くこともあります。

  • 原因

    ストレスや不安、緊張などが原因となって発症します。あるクリニックの統計によると、初診時に胸痛を主訴として来院した患者のうち、約17%が心因性の胸痛とされています。

  • なりやすい人の傾向

    小さな物事を気にしやすい人、気が弱いタイプの人、ストレスをためやすいタイプの人、神経質な人などに多く発症するようです。

  • 治療法

    痛みの原因となっている恐怖心や緊張などを取り除くことで、大半の患者は改善します。多くの場合、検査を経て「異常ありません」と伝えるだけで、症状は治まるようです。お守り代わりに漢方薬を処方する医師もいます。

  • 予防法

    自分の周りに起こる出来事を気にし過ぎないことが予防法になりますが、なかなか難しいかもしれません。どうしても気になる人は、休日にスポーツや趣味に没頭するなどし、たまったストレスを少しでも解消することが予防につながる可能性があるでしょう。

肋間神経痛

  • 症状

    胸の全面、背中、脇腹、へそなどにおける急激な痛み、またはジクジクとした持続性の痛みを生じます。原因によって痛みの出方が異なり、深呼吸したり姿勢を変えたりする際に痛みが強くなることもあります。

  • 原因

    ストレス過多、長時間にわたる悪い姿勢、筋肉のこり、肋骨骨折などの外傷、帯状疱疹などの病気、胸椎椎間板ヘルニアなどの解剖学的異常など、さまざまな原因によって肋間神経痛が発症します。

  • なりやすい人の傾向

    長時間同じ姿勢でパソコンに向かっている人や、ストレスをためこみやすい人などに発症しやすい傾向があります。また帯状疱疹は肋間神経痛の主要な原因の一つとして知られています。

  • 治療法

    内服薬(消炎鎮痛剤)や湿布の処方が一般的です。運動やリハビリなどが並行されることもあります。また帯状疱疹などの病気が原因の場合には、その病気を取り除くことが肋間神経痛の治療となります。

  • 予防法

    同じ姿勢を長時間続けないこと、ウォーキングなどの適度な運動を習慣化すること、ストレスをためずに解消することなどが、肋間神経痛の予防に貢献することでしょう。

悪性腫瘍(肺がん)

  • 症状

    初期段階では無症状ながら、病状の進行にともなって咳や痰、血痰、発熱、胸痛などの症状が現れます。肥満やムーンフェイス、食欲不振、神経症状、意識障害などが現れることもあります。

  • 原因

    副流煙を含むタバコの煙や、アスベスト・ヒ素・ラドン・ニッケルなどの有害物質、PM2.5などによる大気汚染、遺伝などが肺がんの原因に関与しているとされています。特に、タバコは肺がんの代表的な危険因子です。

  • なりやすい人の傾向

    喫煙習慣のある人、多量の飲酒をする人、栄養バランスが悪い人、運動習慣がない人、体型が適正ではない人(太り過ぎや痩せすぎ)などにおいて、肺がんを発症しやすい傾向があると言われています。

  • 治療法

    症状の程度に応じ、手術療法による患部の摘出、放射線療法、薬物療法などが選択的に行われます。手術に耐えうる状態の場合には、手術による病巣の摘出を行い、術後に放射線治療や薬物療法などを実施するのが一般的です。

  • 予防法

    上記「なりやすい人の傾向」を基準に、危険因子を排除する生活を送ります。特に喫煙者の肺がん発症リスクは非喫煙者の数倍との報告があるため、肺がん予防のためには禁煙が強く望まれます。

肩から胸が痛む狭心症・心筋梗塞の改善法と予防法

狭心症・心筋梗塞と診断された場合は、以後、なるべく発作を誘発しないよう医師の指示にしたがって生活してください。万が一発作が生じた時に備え、常に薬を携帯しておくことも大切です。以下、狭心症・心筋梗塞を予防するための一般的な生活習慣について解説します。

■血糖値の上昇に気を付ける

日常でできる最も簡単な狭心症・心筋梗塞の予防法が、血糖値の上昇に注意すること。血糖値が上昇する原因物質は、糖質しかありません。よって、糖質の摂取量を減らすことこそ、血糖値の上昇を抑える唯一の方法となります。

糖質は、砂糖などの甘いものだけに含まれているわけではありません。いわゆる炭水化物と称される食材には、糖質が多く含まれています。ご飯、パン、麺類などには糖質が非常に多く含まれているため、その摂取量を制限することが大切です。炭水化物を避けて、タンパク質(肉、魚、大豆食品など)を中心にお腹を満たすようにしましょう。

■脂質異常症(高脂血症)を改善させる

脂質異常症と診断された人の多くは、過食や高脂肪食の傾向があります。運動をすることも脂質異常症の改善には有効ですが、運動以前に、まずは食習慣の見直しが大切です。

脂質異常症を改善させるための食事としては、高カロリー、高脂肪の食材を控え、なるべく食物繊維を多く含む食材を摂ることが有効。ゴボウ、海藻類、キノコ類、ニンジンなどを積極的に摂ってください。かつ、ビタミンとミネラルのバランスも考えた食事を心がけ、食事量を腹八分目で抑えるようにしましょう。

■肥満に注意する

肥満とは、言わば高血糖や脂質異常症を放置した結果として生じるもの。健康診断で肥満傾向と指摘された人の多くは、高血糖や脂質異常症も指摘されているのではないでしょうか。

肥満を解消させるためには、食生活の改善が必須。糖質の多い食材については、それまでの1/3程度まで減らしてください。空腹を満たす食材として、ご飯やパン、麺類ではなく、肉類や魚、野菜などを中心に摂るようにしましょう。

加えて、週に3回程度はウォーキングなどの軽い有酸素運動を行なうことが大事。1回につき30分以上の有酸素運動を行なうことで、効率的に脂肪を燃焼させることができます。

■血圧管理を怠らない

高血圧は狭心症・心筋梗塞を招く恐れのある危険因子です。ご自身の血圧がどの程度であるか、毎日計測を怠らないようにしてください。

血圧の高低には、多分に遺伝的な要素が介入しています。もともと高血圧家系の方は、それ以上血圧を上げないよう禁煙・減塩などが望まれます。ストレスも血圧を上昇させる要因となることを覚えておきましょう。日常的な対策をもってしても血圧が高い場合には、医師に相談のうえ、適宜降圧剤を服用します。

■ストレスの少ない生活を心がける

ストレスや興奮が、狭心症・心筋梗塞の直接的な誘因となることは、よく知られています。交感神経(自律神経の一種)が急激に活発化し、体の各所に影響を及ぼすことが理由です。

ストレスの観点から狭心症・心筋梗塞の予防を目指すためには、「ストレスを解消すること」よりも「ストレスを受けないこと」のほうが大事。心臓に何らかの不調を有している人は、力を抜き、リラックスした状態で日々を過ごすよう工夫してみてください。

特に注意すべきは血管攣縮による狭心症・心筋梗塞

肩から胸が痛い場合には、狭心症・心筋梗塞の疑いも否定できません。早急に医療機関を受診し、原因を特定することが大事です。

また病院で狭心症・心筋梗塞と診断された場合、それが動脈硬化によるものなのか、血栓によるものなのか、それとも血管攣縮によるものなのかをきちんと確認してください。特に血管攣縮による狭心症・心筋梗塞は、他の2つとは原因が根本的に異なるため、予防を図る上でも違ったスタンスが必要となります。

動脈硬化や血栓が原因の狭心症・心筋梗塞は、その原因の大半が生活習慣の乱れ。暴飲暴食や運動不足、喫煙習慣、ストレスなどが原因で動脈硬化や血栓を生じ、これが狭心症・心筋梗塞の原因となっている場合が大半です。逆に言えば、生活習慣を見直すことにより、これらを原因とした狭心症・心筋梗塞のリスクを大幅に低下させることも可能です。

それに対して血管攣縮(血管が痙攣を起こして収縮する症状)は、確かに悪しき生活習慣も発症に関与しているものの、直接的な原因は体内で分泌されているSPCという物質。予防するためには、有効成分を用いてSPCの活性を抑える必要があります。 予期することが難しいという意味においても、血管攣縮を原因とした狭心症・心筋梗塞について正しく理解し、正しく恐れることが大事です。

【ご注意!】血管の異常な収縮

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