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病気の中でも血管性の病気は、その発症タイミングにおいて気候や天候の影響を受けやすいと言われています。もちろん、心筋梗塞や狭心症も血管性の病気である以上、例外ではありません。一般的に心筋梗塞・狭心症は冬に発症しやすいイメージがありますが、厳密に統計を取ってみると、それほど単純なものではないようです。季節との関係を詳しくチェックしていきましょう。

心筋梗塞・狭心症は冬に発症しやすい?

一般的なイメージでは、心筋梗塞や狭心症は冬に発症しやすいと考えられていますが、この認識は概ね誤っていません。

心筋梗塞の発症月別のデータについては、国内外の多くの研究機関から報告されています。それぞれのデータには多くの誤差が見られるものの、冬に発症しやすい傾向があることは確かです。古いデータになりますが、厚生労働省が行った1982~1994年までの調査では、12月、2月、3月に心筋梗塞が頻発する傾向があるとのデータが発表されています。

なぜ、心筋梗塞・狭心症は冬に起こりやすいのでしょう?

心筋梗塞・狭心症が冬に起こりやすい原因

冬に心筋梗塞・狭心症が発症しやすい原因は、血圧の上昇です。冬の血圧の上昇は、主に2つの理由により引き起こされます。

気温の低下による血管の収縮

気温が低下すると、人の体は体温を維持すべく、交感神経(自律神経の一種)の働きが活発化。その結果、血管が収縮して血圧が上昇します。

血圧の上昇が心臓への負担を増大させる要因となり、心筋梗塞のリスクが高まります。それに加え、血管が収縮していることから心臓の筋肉が十分な酸素を得られなくなったり、また、血栓が生じやすくなったりします。こうした複合的な要因により、冬は心筋梗塞・狭心症の発症率が高くなると言われているのです。

寒暖の差による血圧の急上昇

冬は、場所によって著しい寒暖の差が生じる場合があります。その代表的な例が、浴室と脱衣所、または居間と廊下。あるいは、寝室とトイレにも著しい寒暖の差が生じます。

これらの場所を移動した際に体感する寒暖の差は、血圧を急激に上昇させます。その結果、心筋梗塞・狭心症の発作リスクが高まることになるのです。

冬の心筋梗塞・狭心症を予防する方法

体を冷やさないこと、および屋内の寒暖の差をなくすことが、冬の心筋梗塞・狭心症のリスクを低下させるのに効果的な手段です。

外出の際には温かい服装を

外出する際には、十分に温かい服装をするようにしましょう。特に首の頸動脈を温めることで、体温は効率的に維持されます。血管性疾患のリスクを抱えている人は、冬のマフラー着用を必須と考えてください。

屋内での寒暖の差をなくす

脱衣所や廊下、トイレにヒーターを設置するなどし、なるべく屋内の寒暖の差をなくすように努めましょう。

ヒーターの増設が現実的ではない場合には、少々面倒ですが、寒い場所に移動する際には厚着をするようにします。たとえば入浴後は、脱衣所ではなく浴室で着替えを済ませるようにしたり、あるいは、トイレに行く際にはマフラーを着用したりするようにしましょう。

夏の心筋梗塞・狭心症にも要注意

冬に心筋梗塞や狭心症を発症しやすいということは、すでに周知の事実かも知れません。そのためか、夏の発作リスクを甘く見ている人もいるのではないでしょうか?

京都府立医科大学を始めとする国際研究グループは、南半球・北半球それぞれ7カ国における急性心筋梗塞の症例2,270例を対象に、夏における急性心筋梗塞の発症率の変化を調査。調査の結果、日中(6:00~18:00)においては、他の季節に比べて夏の心筋梗塞の発症率が低くなるものの、夜間(18:00~6:00)においては、他の季節よりも夏のほうが心筋梗塞の発症率が高くなることが分かりました。

夏の夜間に心筋梗塞・狭心症が起こりやすい理由

夏の夜間に心筋梗塞・狭心症が起こりやすい理由については研究中だそうです。体内におけるビタミンDの合成量との関係を指摘する説もありますが、有力な説としては、脱水を原因とする説が挙げられます。

夜間の脱水症状が心筋梗塞を招く恐れあり

夏は、他の季節よりも多くの汗をかきます。日中の発汗量が増加するのはもちろんですが、夜間の発汗量が増加していることにも注意してください。

睡眠中の発汗量に対して適切な水分補給を行なっていない場合、本人の知らぬ間に脱水症状に至る場合があります。脱水症状になると、血中の水分量が低下して血液濃度が上昇。結果、血管内の僅かな刺激などにより血栓が生じやすくなります。この血栓が脳の血流を阻害すれば脳梗塞を発症し、心臓の血流を阻害すれば心筋梗塞・狭心症を発症することになるのです。

夏の心筋梗塞・狭心症を予防する方法

夏の心筋梗塞・狭心症の主な原因が脱水症状であると仮定すれば、睡眠中の脱水を防ぐ各種の準備こそ、心筋梗塞・狭心症の発症を予防する対策となるでしょう。

寝る前に水を飲む

夕食時はもとより、寝る前に十分な水分摂取を行なっておきましょう。夜間にトイレに起きる回数が増えるかも知れませんが、心筋梗塞・狭心症を発症リスクを下げるためには致し方ありません。

また、枕元に水やスポーツドリンクなどを置き、夜間に目が覚めた時などには、こまめに水分補給することも有効です。

過度の飲酒を控える

アルコールには強い利尿作用があります。お酒を飲んだ夜、トイレに何度も起きた経験のある人も少なくないはず。お酒は液体ですが、飲んでも水分補給にはならず、むしろ脱水を招く要因となることを理解してください。

夏にお酒を飲む際、または飲んだ後は、水をたくさん飲むようにしましょう。

クーラーの使用

夜間は、可能であればクーラーを利用しながら寝るようにしましょう。その際、部屋を過度に冷やしてしまうと体調を崩してしまうので、あくまでも適温を心掛けてください。「寝苦しくない程度」を心掛けると良さそうですね。

寝室にクーラーがない場合には、クーラーのある部屋に移動して寝ることも検討してみましょう。

心臓の血管攣縮による心筋梗塞・狭心症に要注意

心筋梗塞や狭心症は、気候や天候の影響によってリスクが高まります。冬はもちろんですが、夏であったとしても、発作を予防するための対策を怠らないよう十分に注意してください。

心筋梗塞や狭心症の発作の原因は、大きく分けると「動脈硬化・血栓」と「血管攣縮」の2種類があります。発作を予防するためには、季節を考慮した行動をとるとともに、これら原因別による対策を並行することも重要です。

動脈硬化・血栓を原因とする心筋梗塞の予防法

動脈硬化や血栓の原因は、主に生活習慣です。糖質や脂質、コレステロールが多めの食習慣や、運動不足などが原因となり、動脈硬化から血栓を招いて、心筋梗塞・狭心症へと至ります。

発作を予防するためには、生活習慣の見直しが大切。特に、動脈硬化や血栓を生じている人の多くに肥満傾向が確認されているため、肥満を解消するための生活習慣を意識するようにしてください。生活習慣が変化すれば、季節性による心筋梗塞の発症リスクも低下します。

血管攣縮を原因とする心筋梗塞の予防法

何らかの原因で血管が痙攣・収縮する現象を、血管攣縮と言います。心臓の表面を走る冠動脈において血管攣縮が生じた場合、心筋梗塞や狭心症に至るリスクが高くなります。

血管攣縮を発症原因は、主に2つ。1つめが生活習慣です。血管攣縮を生じた患者の多くに動脈硬化の傾向が見られることから、上記と同様、生活習慣の影響が血管攣縮の誘因となっていることが考えられます。もう1つは、体内で分泌されているSPCという物質。近年の研究により、SPCの活性化が血管攣縮の誘因となることが明らかになっています。

血管攣縮を原因とする心筋梗塞の予防のためには、生活習慣を改善させるとともに、SPCの活性を抑えることの2つが大切な対策となるでしょう。