原因不明の動悸がおさまらない場合は、何らかの病気が背景に隠れている可能性があります。狭心症や心筋梗塞など、命に関わる病気の前兆かも知れないので注意が必要。心疾患を中心に、ここでは動悸がおさまらない原因・対策などについて解説しています。

「動悸がおさまらない」とはどういうことか?

普段よりも胸がドキドキする症状のことを、動悸と言います。私たちは日常の様々な場面で動悸を経験しています。

  • 人前で何かをスピーチする時
  • 合格発表を見る時
  • 取引先に営業にいく時
  • スポーツの試合本番が迫ってきた時
  • 片思いの人が近くにいる時、等々

これらの場面においては、2つある自律神経のうち、興奮や緊張を司る交感神経が活発化します。その影響により、筋肉が硬直したり、心臓の動機が激しくなったりします。

このタイプの動機は、言わば体の自然な反射運動なので、特に心配する必要はありません。

一方で、緊張・興奮などの理由がないにも関わらず、なぜか動悸が激しくなった場合、交感神経の働きとは別の理由を考えなければなりません。心筋梗塞やパニック障害など、何らかの病気が理由で動悸を生じている恐れがあります。

動悸と狭心症・心筋梗塞との関係

狭心症や心筋梗塞の前兆として動悸が見られる場合もあります。厳密に言えば、前兆というよりも、症状の一種として動悸が見られます。

狭心症や心筋梗塞と聞くと、一般に急激な胸の痛みをイメージしますが、中には痛みを伴わない症例もあります。これを無痛性狭心症、無痛性心筋梗塞などと言います。

無痛性狭心症や無痛性心筋梗塞を生じた場合、本人にはその症状が「理由のない動悸」に感じられることもあるでしょう。

無痛性狭心症・無痛性心筋梗塞が生じる理由

無痛性狭心症や無痛性心筋梗塞は、主に以下の3つの理由において生じます。

発作の程度が軽い
病巣が非常に狭く発作の程度が軽い場合、痛みを伴わないことがあります。
糖尿病
無痛性心筋梗塞を起こす人の34~43%は、糖尿病患者と言われています。糖尿病の影響により痛覚が麻痺していることが原因です。
高齢
高齢者の中にも、痛覚麻痺などの理由で痛みを伴わない狭心症・心筋梗塞を起こす例が見られます。

痛みがある症例よりも恐ろしい

狭心症であれ心筋梗塞であれ、症状を放置した場合は死に至るリスクがあります。無痛性狭心症・無痛性心筋梗塞は、痛みの自覚がほとんどないため、病院を受診せずに症状をそのまま放置しがち。痛みを伴う症例よりも、痛みを伴わない症例のほうが恐ろしいと考えることもできるでしょう。

動悸を原因としたその他の病気

動悸を自覚したからと言え、その全てが狭心症や心筋梗塞の前触れであるとは限りません。他の病気が原因として生じる動悸もいくつかあることから、病院で適切な診断を受けることが大切です。

低血糖症
血糖値が50mg/dl以下まで下がると、動悸を始め、手足の震えや冷や汗などの様々な症状が生じることがあります。血糖値が下がる原因にはいくつかありますが、動悸を生じるほどの低血糖は、多くの場合、インスリンの効きすぎが原因のようです。
バセドウ病
甲状腺ホルモンの過剰分泌によって現れる、様々な症状の総称。主に、動悸、眼球突出、甲状腺の腫れ、手の震え、息切れ、発汗などが見られます。
貧血
血中のヘモグロビン濃度が低下し、全身が酸欠に近い状態になることを貧血と言います。貧血の代表的な症状として、動悸、立ちくらみ、頭痛、冷え、耳鳴りなどがあります。主な原因は鉄分不足です。
更年期障害
閉経前後の女性に見られる更年期障害の症状の一つに、動悸があります。他にも、肩こり、倦怠感、のぼせ、ほてり、イライラなど、人により様々な症状を自覚します。
パニック障害
突然、前触れもなく激しい動悸、発汗、頻脈、不安感などに襲われる症状。症状は10分~1時間程度で消滅します。脳内の神経伝達物質「セロトニン」と「ノルアドレナリン」のバランスの崩れが原因で発症する、と考えられています。

狭心症・心筋梗塞の予防法

多くの場合、狭心症や心筋梗塞は生活習慣の乱れが原因となり発症します。ライフスタイルを見直すことで、少しでも狭心症・心筋梗塞の発症リスクを低下させていきましょう。

禁煙する
狭心症・心筋梗塞の既往歴がある人は、治療の一環として禁煙が強制されます。喫煙による酸化ストレス等が、冠動脈に多大な影響を与えるからです。

当然ながら、まだ狭心症や心筋梗塞を発症していない人においても、禁煙することで発症リスクを大幅に抑えることができます。

暴飲暴食をやめる
暴飲暴食は、動脈硬化や血栓などの大きな原因となります。三食バランスの良い食事をし、かつ脂質の摂り過ぎには注意しましょう。

すでに生活習慣病、肥満等を指摘されている人については、医師の指導のもとで食事制限が必要となるかも知れません。

適度な運動をする
たとえ暴飲暴食をしていなくとも、日ごろから運動不足の人は、生活習慣病や隠れ肥満などを生じている可能性があります。

運動不足を自覚している人に対しては、週に3回程度でも良いので、1回30分以上のウォーキングを実施することを推奨します。

ストレスをためない
精神的ストレスが狭心症・心筋梗塞の大きな誘因の一つであることは、昔からよく聞く話。ストレスによる自律神経のバランスの乱れが冠攣縮を誘発することがある、とされています。

神経質な人や不安症の人はストレスをためやすいので注意してください。

狭心症・心筋梗塞の3大要因

死亡率が決して低くはない狭心症・心筋梗塞。初回の発作で死に至る人もいるほどなので、その原因をきちんと理解し、適切な予防法を実行していくようにしたいものです。

狭心症や心筋梗塞の直接的な原因について、主に以下の3つに分かれます。

動脈硬化
動脈硬化とは、動脈の内壁が硬くなってしまう症状のこと。症状が進行すると、やがて血管を狭めて血流を阻害することがあります。心臓の冠動脈における動脈硬化が原因で血流が阻害されると、狭心症や心筋梗塞に発展する恐れがあります。
血栓
血栓とは、血管内に生じた血の塊のこと。塊の正体は、コレステロールなどの脂肪物質です。血管内に生まれた血栓が血流を阻害すると、その先に血液が送られにくくなり組織が壊死します。この症状が心臓の冠動脈で起これば、狭心症や心筋梗塞と診断されます。
血管攣縮
何らかの原因により血管自体が攣縮(痙攣を起こして縮まること)を起こし、血管の通り道を狭めてしまうことがあります。心臓の冠動脈で血管攣縮が生じ血流が阻害されると、狭心症や心筋梗塞に発展する恐れがあります。

特に注意すべきは血管攣縮を原因とした狭心症・心筋梗塞

動脈硬化や血栓は、多くの場合、生活習慣病の一種として現れます。脂質の多い食事、運動不足など、日常生活の不摂生などが原因となって生じる症状なので、逆に言えば、日常生活の改善を通じて症状を快方へ向けることも可能です。

その一方で、血管攣縮は、生活習慣も要因の一つとはされているものの、多くの場合、その発症を予期することができません。健全な生活習慣を送っている人でも、突如として血管攣縮を発症することがあります。

狭心症や心筋梗塞に関して考える際には、その発症が全く予期できない血管攣縮を特に注意すべきでしょう。

以下のページでは、血管攣縮の概要、血管攣縮が起こるメカニズム、血管攣縮の予防法等について詳しくご紹介しています