急な動悸で胸が苦しい!
狭心症や心筋梗塞の前兆?

単純に心臓がドキドキしていると感じられるような動悸でなく、特に運動などをしているわけでもないのに、急に動悸がして胸が苦しい時や、さらにめまい、ふらつきが伴う場合、狭心症や心筋梗塞と関わっている可能性も考えられます。一体どうして動悸と胸の苦しさや痛みなどが重なると、それが危険なサインになるのでしょうか?

動悸で胸が苦しいのは病気なのか?

他の症状を併発する動悸は注意が必要

基本的に、心臓がドキドキしたり、不規則に動いていると感じたりするからといって、必ずしもそれが心筋梗塞や狭心症といった深刻な病気に関連しているとは限りません。

心臓の鼓動が急に早まったり、そのリズムが不規則になったりする症状は「不整脈」と総称され、例えば心臓がドキドキと加速しているような動悸がする時は、不整脈の中でも脈拍が速くなる「頻脈」が起きていると思われます。

そして動悸には、緊張など精神的なストレスが原因で引き起こされるものがあり、また30歳以上になると、脈拍が不規則になる「期外収縮」という不整脈の症状が、ほぼ全ての人に起こるともいわれています。

その為、日常生活の中で不意に動悸がしたからといって、すぐさま自分が重大な病気に冒されていると不安を抱く必要はありません。

しかしその一方で、異常な動悸があまりにも頻繁に起こる場合や、何より胸の苦しさや痛み、めまいや失神といった他の症状を併発する場合、慎重に原因を突き止めることが必要になります。

動悸による胸の苦しさが
狭心症や心筋梗塞の前兆になる理由

動悸と虚血性心疾患は別の要因によるもの

前提として理解しておくべきことは、不整脈の直接的な原因は、心筋梗塞や狭心症といった心臓の血管に関わる病気でなく、心臓の動きを司る電気系統のエラーです。

つまり、動悸と虚血性心疾患は別の要因によるもの。明らかな不整脈や動悸がずっと続く場合、まずは心臓の電気系統に何らかの異常が生じている可能性を考えなければなりません。

不整脈が引き起こされる理由としては、洞性頻脈や上室性期外収縮などのように危険性が低いものから、脳梗塞の原因にもなる発作性心房細といった危険なものまで、幾つもの症状が考えられます。

例えば心筋梗塞によって心筋細胞が壊死した場合、場所によっては電気系統に不具合を発生させてしまい、結果として不整脈や動悸が引き起こされる可能性も十分にあり得ます。また、深刻な不整脈が起こると、しばしば血液の流れも滞りやすくなり、さらに心臓の他の細胞を壊死させたり、全身や脳への酸素の供給にも不具合が発生したりすることも珍しくありません。

心臓の血流異常によって胸が苦しくなる

不整脈によって脳に酸素が十分に送られない場合には、頭痛やめまい、ふらつき、失神といった症状が現れます。心臓の血流が一時的に悪くなった結果、胸が苦しくなったり、胸痛や圧迫感を覚えたりと、狭心症の発作が起こることもあるでしょう。

言い換えれば、動悸と共に胸の苦しさや痛み、頭痛やめまいなどの諸症状が現れる場合、既に心筋梗塞が発症していたり、将来的に深刻な病気を引き起こしたりする可能性が高まっていると考えることが可能です。(※1,2)

もちろん、動悸と胸の苦しさなどが併発しているからといって、絶対にそれが虚血性心疾患に関連しているとは限りません。しかし、もしもそのような症状を自覚した場合は、速やかに専門医の診断を受けることが大切です。

動悸による胸の苦しさから考えられる
他の病気

貧血

息苦しさや圧迫感、胸痛といった症状を伴う動悸の原因としては、虚血性心疾患の他にも様々な病気が考えられます。

第一に考えられるのは、貧血です。血液中で酸素を運搬する物質として働く赤血球が減少すると、同じ血液量が全身を巡ったとしても、運べる酸素量は減少します。その為、心臓は少しでも酸素の供給量を増やそうと、血液の循環量を増やす、つまり心臓のポンプ機能を強化する(心臓の鼓動を増やす)という行動に出ます。その結果、頻脈となって動悸を感じられることも少なくありません。また、それでも脳への酸素供給量が不足すれば、息苦しさや倦怠感、頭痛が起こってしまうでしょう。

肺の病気

貧血でもないのに、動悸と呼吸困難や胸痛、めまいが同時に起こることもあります。その1つが、「エコノミークラス症候群」という名前でも知られた、肺の血管が詰まってしまう「肺塞栓症」です。

肺塞栓症は、心筋梗塞や脳梗塞と同様に、肺の動脈に血栓が詰まって、肺の血流に不具合が生じる病気です。肺の血流が滞ると、酸素の供給にも不具合が生じて息苦しさを覚えるようになり、心臓は普段以上に頑張って動こうとします。また、肺塞栓症ではしばしば息を吸う時に鋭い痛みを胸に感じたり、圧迫感や不快感を覚えたりする症状も現れます。

加えて、動悸に関わる肺の病気としては肺気腫なども有名であり、特に喫煙者や空気環境の悪い場所で仕事をしている人は要注意です。(※3)

精神的な病気

貧血や肺の病気以外にも、精神的な病気が原因となって動悸や息切れ、胸の苦しさなどが引き起こされることもあります。

その1つが「心気症」です。心気症とは、本来であれば特に問題があるわけでもない体調の変化や、ちょっとした動悸を感じた時、自分はきっと重大な病気にかかっているのだと不安を抱いて、ストレスを増大させ、やがて本当に心身に不調を来してしまう精神疾患です。

特に心気症は、うつ病やパニック障害などとの関連も深く、悪化すれば単なる「思い込み」だけでは済まなくなる病気なので、もしも動悸がしたとしても、まずは落ち着いて、専門医の診断結果を冷静に聞くことが大切です。(※4)

心筋梗塞や狭心症の予防法は?

まずはライフスタイルの見直しを

心筋梗塞や狭心症といった虚血性心臓疾患の危険因子としては、喫煙、肥満、高血圧、高脂血症などに加え、精神的なストレスも知られています。その為、まず考えるべき予防法としては、脂っこい料理を減らして野菜を使ったメニューを増やすことや、禁煙・適度な運動といった生活習慣の見直し、趣味によるストレスの軽減といった、ライフスタイル全般の改善が挙げられるでしょう。

尚、家族に高血圧や糖尿病の患者がいる人であれば、定期的に医療機関で検査を受けることも大切です。

心筋梗塞や狭心症の原因は?

動脈硬化

動脈硬化が進行すると、心臓の血管(動脈)の狭窄や閉塞が起こりやすくなります。血管の狭窄や閉塞は、血流を阻害して心筋梗塞や狭心症を引き起こす要因の1つです。

血栓

血流が滞ると、血の塊(血栓)ができやすくなります。そして、血の塊が血管内を移動してどこかで詰まってしまうと、そのまま血流が停止して、周辺組織は壊死していきます。心筋細胞が壊死して正常に機能しなくなった状態が心筋梗塞です。

血管攣縮

動脈硬化や血栓の他にも、狭心症の発作や心筋梗塞を引き起こす原因として危険視されているものが、血管攣縮です。血管攣縮が起こると、血管が急にけいれんを起こして収縮し、やがて冠動脈などの血流が滞ってしまいます。

血管攣縮は心電図検査でも見つけにくく、さらに狭心症の6割に関わっているともいわれている、非常に恐ろしい症状です。(※5)

参照元

※1:全日本民医「特集2 動悸を感じたら 併発する症状によっては治療が必要なことも」
[online]https://www.min-iren.gr.jp/?p=6973(参照2018/06/20)

※2:国立循環器病研究センター循環器病情報サービス「虚血性心疾患」
[online]http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/ischemic-heart-disease.html(参照2018/06/20)

※3:国立循環器病研究センター循環器病情報サービス「肺塞栓症」
[online]http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph78.html(参照2018/06/20)

※4:一般社団法人日本小児心身医学会「心気症について」
[online]http://www.jisinsin.jp/detail/10-ujiiehtm.html(参照2018/06/20)

※5:ハートニュース(公益財団法人日本心臓財団,2008年発行)
[online]http://www.jhf.or.jp/heartnews/newHN/2008/no1/images/no1-61.pdf(参照2018/06/20)[pdf]