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前日に激しい運動をしたり、お酒を飲み過ぎたりした時などに疲労感を覚えるのは、特に珍しいことではありません。しかし、特に心当たりがないにも関わらず、著しい疲労感・倦怠感を自覚した場合、心筋梗塞や狭心症の前兆である可能性があります。違和感のある疲労を覚えたならば、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

心筋梗塞・狭心症の前兆としての疲労感

心筋梗塞や狭心症の前兆症状は、必ずしも胸の違和感のみではありません。放散痛と言い、背中や肩、みぞおち、奥歯などの痛みが心筋梗塞・狭心症の前兆となることもあります。そして、痛み以外にも、普段とは異なるような疲労感・倦怠感が心筋梗塞の前兆となることもあります。

心筋梗塞の前兆として疲労感・倦怠感が生じる理由

心筋梗塞の発作を起こす前段階では、心臓の表面を走る冠動脈という血管が、動脈硬化などの理由で狭くなっています。冠動脈は非常に太い血管なので、狭くなってしまうと全身の血流に影響が生じかねません。

狭くなった冠動脈の影響で全身の血行が悪化となると、体中の細胞が酸欠不足を起こします。この影響により肝臓などの臓器の働きが不十分になると、全身的な疲労感・倦怠感を覚えることがあります。

通常の疲労感と心筋梗塞の前兆の違い

通常の疲労感の場合、それを自覚している本人は、疲労の原因に何らかの心当たりがあるはずです。スポーツや肉体労働などで普段よりも激しく肉体に負荷を与えたことや、前日に遅くまで起きていた場合などです。

一方、心筋梗塞の前兆としての疲労感には心当たりがありません。普段通りの生活をしているにも関わらず、普段よりも著しく疲れやすく感じます。息切れを併うことも少なくありません。

心当たりのない著しい疲労感を覚えた場合、心筋梗塞・狭心症の前兆の可能性があります。無理をせず、専門の病院を受診することが大切です。

疲労感を伴う心筋梗塞以外のケース

心当たりのない疲労感・倦怠感を自覚したとしても、それが必ずしも心筋梗塞・狭心症の前兆とは限りません。以下、心筋梗塞以外の原因で疲労感を覚えるケースについて確認しておきましょう。

貧血

  • 症状

    疲労感、倦怠感、めまい、動悸、息切れ、頭痛などの症状が見られます。症状が悪化すると失神する場合もあります。

  • 原因

    ほとんどの貧血は鉄分不足が原因です。鉄分が不足することで、全身に酸素を運ぶヘモグロビンの生成量が減少。その結果、全身が酸欠となっている状態が貧血です。

  • なりやすい人の傾向

    男性よりも女性に多く発症する傾向があります。中でも、生理中の人やダイエット中の人に好発します。

  • 治療法

    鉄剤やビタミンC、葉酸などの内服によって症状の改善を目指すことがあります。

  • 予防法

    鉄分を多く含む食材(レバーやほうれん草など)、およびビタミンCを多く含む食材を意識的に多く摂るようにします。市販のヘム鉄サプリやビタミンCサプリを利用するのも良いでしょう。

風邪

  • 症状

    疲労感、発熱、関節の痛み、筋肉の痛み、鼻水、鼻づまり、咳、くしゃみ、たん、のどの痛みなどの症状が見られます。扁桃炎や肺炎に発展するケースもあります。

  • 原因

    風邪をひいている人からの飛沫感染や、感染源への接触、免疫力の低下などが主な原因と考えられています。

  • なりやすい人の傾向

    免疫力が低下している人は風邪をひきやすい傾向があります。具体的には、ストレスをためている人や睡眠不足の人、運動不足の人、栄養バランスの悪い人などです。飲酒量が多い人や喫煙者も風邪をひきやすいと言われています。

  • 治療法

    細菌感染による風邪は抗生剤で治療が可能ですが、大半を占めるウイルス感染による風邪は治療が困難です。対症療法を目的とした薬で症状を緩和させながら、十分に体を休ませてください。

  • 予防法

    バランスのとれた食事、十分な睡眠、手洗い・うがいの習慣、禁煙、適切な空調管理などが予防のベースとなります。他人からの感染を防ぐために、マスクの着用も有効です。

急性肝炎

  • 症状

    疲労感、全身倦怠感、発熱、黄疸、食欲不振、嘔吐など、さまざまな症状が確認されています。劇症化(症例のうち1~2%)した場合、高い確率で死亡します。

  • 原因

    主に肝炎ウイルスの感染が原因です。魚介類の生食を通じたA型肝炎ウイルスや、性的接触を通じたB型肝炎ウイルス、汚染血液の輸血を通じたB型・C型肝炎ウイルス、鹿肉などの生食を通じたE型肝炎ウイルスなどが原因となります。

  • なりやすい人の傾向

    ウイルス感染が原因の病気である以上、どんな人にも感染リスクがあると考えましょう。ストレスの関与を指摘する俗説がありますが、ストレスと急性肝炎に関連はありません。

  • 治療法

    症状の程度や経過に応じ、食事療法、薬物療法、安静などの方法で状態の改善を目指します。C型肝炎を除き、急性肝炎は基本的に自然治癒する病気です。

  • 予防法

    A型肝炎とB型肝炎については、予防接種を受けることで、ほぼ感染を防ぐことができます。「肝臓は沈黙の臓器」とも言われるため、たとえ自覚症状がなくても健康診断・人間ドックを受診することが、何よりの予防法となるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群

  • 症状

    睡眠中の酸欠により十分に疲れが取れないことから、翌日の日中に、著しい疲労感や眠気、頭痛などが生じます。中には、運転中などに本当に眠ってしまう人もいます。高血圧や不整脈などを誘発することもあります。

  • 原因

    睡眠中、空気の通り道となる気道が塞がることが原因です。気道が塞がる原因は、脂肪(肥満)、首が短い、顎が小さい、生まれつき気道が狭い、などです。

  • なりやすい人の傾向

    主に肥満体型の人が睡眠時無呼吸症候群を発症します。また、睡眠前に過度のアルコールを摂取する人も、睡眠中に気道が閉塞しやすくなります。

  • 治療法

    睡眠中の経鼻的持続陽圧呼吸療法装置(CPAP)の使用や、気道確保のための手術療法、歯科装具(スプリント)による治療などが行われています。

  • 予防法

    肥満が原因の場合には、減量することが有効な予防法となります。摂取カロリーを減らし、かつ運動で消費カロリーを増やし、標準体重の維持を目指しましょう。軽度の睡眠時無呼吸症候群であれば、横向きに寝ることで症状が改善することもあります。

慢性疲労症候群

  • 症状

    日常生活に支障があるほどの極度な疲労感が、通常、6ヶ月以上続きます。疲労感のほかにも、集中力の低下や不眠、頭痛、のどの痛み、筋肉痛、関節痛、腹痛等が見られます。

  • 原因

    原因は不明です。遺伝的要因、微生物などへの曝露、身体的・精神的要因など、複数の原因が関与していると指摘する研究者もいます。

  • なりやすい人の傾向

    原因自体が不明なため、なりやすい人の傾向も不明です。

  • 治療法

    多くの場合、時間の経過とともに症状が軽くなっていきます。この経過の中で、認知行動療法と段階的運動プログラムを実施し、効率的な回復を目指します。一部の患者では薬が有効な例も見られます。

  • 予防法

    原因が不明であることから、明確な予防法も確立されていません。精神的な休養が有効であるとする見解もあります。

うつ病

  • 症状

    気分の落ち込みや自殺願望などの精神症状のほか、極度の疲労感や動悸、息切れ、便秘、下痢、口の乾き、不眠、めまいなどの身体症状が現れることがあります。

  • 原因

    遺伝的体質、薬の副作用、ホルモンバランスの変化、人間関係、妊娠、育児、仕事、疲労の蓄積、睡眠不足、甲状腺機能異常、脳血管障害など、さまざまな原因が指摘されています。

  • なりやすい人の傾向

    几帳面で真面目な性格の人や、完璧主義の人がうつ病になりやすいと言われていますが、性格とうつ病との関連性には否定的な見解もあります。

  • 治療法

    症状の程度に応じて、精神療法や薬物療法、電気けいれん療法などが行われます。季節性うつ病に対しては、光療法が選択されることがあります。

  • 予防法

    十分な睡眠をとること、ストレスをためこまないこと、悩みを一人で抱えこまないこと、過労を避けることなどが予防に有効です。

更年期障害

  • 症状

    疲労感、めまい、動悸、ホットフラッシュ、のぼせ、不眠、イライラ、気分の落ち込み、意欲・集中力低下、関節や腰の痛み、背中の痛み、頭痛など。人により、さまざまな症状が見られます。

  • 原因

    加齢にともなうエストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌量減少が、更年期障害の主な原因です。性格などの心理的因子や、仕事などの社会的因子も症状に関与していると言われています。

  • なりやすい人の傾向

    不規則な生活を送っている人や、過度なダイエットを経験したことがある人、および体重が軽い人などが、比較的強い症状を経験すると言われています。また、体質の遺伝的要素も指摘されています。

  • 治療法

    婦人科などにおけるホルモン補充療法がメイン。医師によっては、漢方薬も積極的に用いられます。精神症状が強い人に対しては、向精神薬が処方されることもあります。

  • 予防法

    完全に予防することは不可能と考えてください。少しでも症状を緩和させる目的で、大豆イソフラボン(エストロゲンに似た働きを持つ成分)の摂取や、栄養バランスのとれた食事、スポーツや旅行などを通じた精神的なリフレッシュが推奨されています。

糖尿病

  • 症状

    だるさ、疲労感、多尿、口の渇き、のどの渇き、体重減少など、さまざまな症状が見られます。神経障害や網膜症、腎症などの合併症を誘発することもあります。

  • 原因

    糖尿病患者の約90%を占める「2型糖尿病」は、遺伝的な要素に加え、過食傾向や運動不足が原因で発症すると言われています。

  • なりやすい人の傾向

    肥満傾向の人や、太ってはいなくともメタボリックシンドロームの人(予備軍含む)などが、ゆくゆくは糖尿病を発症するリスクが高いと考えられます。

  • 治療法

    食事療法、運動療法、薬物療法で改善を目指します。薬物療法ではインスリン治療が用いられることがあります。

  • 予防法

    暴飲暴食をしないこと、日常的に適度な運動をすることが、何よりの予防法となります。

ビタミンB1欠乏症

  • 症状

    初期段階では全身のだるさ、疲労感、下半身の倦怠感、食欲不振など。症状が進行するにつれ、足のむくみ、動悸、息切れ、感覚麻痺などを生じることがあります。

  • 原因

    糖質の摂り過ぎが一因とされています。糖質を分解する際にはビタミンB1が消費されるため、糖質を摂り過ぎるとビタミンB1が欠乏することがあります。

  • なりやすい人の傾向

    糖質を多く含むインスタント食品や清涼飲料水を好む人や、アルコールを過剰摂取している人がビタミンB1欠乏症になりやすいと言われています。

  • 治療法

    ビタミンB1の補充により治療します。点滴で補充することもあれば、内服薬(ビタミンB1誘導体製剤)で補充することもあります。

  • 予防法

    豚肉、ウナギ、枝豆など、ビタミンB1を多く含む食品を意識的に摂ります。食事から十分な量を摂れない型は、ビタミンB1を豊富に配合したドリンク剤などを利用しても良いでしょう。アルコール摂取量は控えめとします。

心筋梗塞・狭心症の発作を予防する方法

心当たりのない著しい疲労感や倦怠感を自覚した場合、速やかに医療機関を受診してください。受診の結果、心筋梗塞や狭心症の前兆であることが判明した場合には、医師の指導にしたがって適切な行動をとりましょう。

心筋梗塞や狭心症の主要な原因のひとつは、動脈硬化です。動脈硬化の悪化を食い止め、かつ改善させていくことが、発作を予防するための前提となります。担当医からも指導される、主な予防法を確認してみましょう。

禁煙する

動脈硬化の進んでいる人が喫煙をした場合、その喫煙自体が直接的な引き金となって心筋梗塞・狭心症の発作を招くことがあります。特に、ニコチンと一酸化炭素は、発作を招く危険因子。

検査によって動脈硬化が確認された場合には、絶対に禁煙してください。受動喫煙が発作の原因となることもあるため、喫煙している人にも近付かないようにしましょう。家族に喫煙者がいる場合には、医師などの力を借りて禁煙するよう説得してください。

食生活を見直す

まずは暴飲暴食をやめることが重要。心臓病以外の病気を予防するためにも、食事を腹八分目で抑えるようにしてください。食事の前半には主食・主菜ではなく野菜を食べることで、食事の全体量が減ることがあります。他にも、いかなる方法でも構わないので食べ過ぎを抑制してください。

加えて、高タンパク、低塩分の食事を意識し、かつ食物繊維を多く摂りましょう。食の欧米化と日本人の心筋梗塞の発症率が比例していることも覚えておいてください。

有酸素運動を習慣化する

軽い運動(有酸素運動)を習慣化することが、心筋梗塞や狭心症の予防につながります。ウォーキングや軽いジョギングなどを定期的に行ってください。

毎日行なうことが難しい場合は週3~4回でも構いません。そのかわり、1回あたりの運動時間は最低でも30分以上を確保すると有効です。

なお、腕立て伏せや短距離走、重量挙げなど、激しく筋肉を使う運動(無酸素運動)は、逆に発作を誘発する原因になることがあるので、避けてください。

ストレスフリーの生活をする

精神的ストレスと身体的ストレスは、どちらも血中コレステロール値の上昇につながり、心筋梗塞・狭心症の発作を誘発することがあります。「ストレスを解消すること」ではなく、「ストレスをなくすこと」を心がけた生活を送るようにしてください。

焦らないこと、怒らないこと、無理をしないこと。発作を予防するためには、根本的にライフスタイルを見直してみたほうが良いかも知れません。

上記の方法では防げない血管攣縮による心筋梗塞・狭心症

心筋梗塞と狭心症の主な原因は動脈硬化だと言われています。その原因の大半が生活習慣にある以上、生活習慣を改善させることで心筋梗塞・狭心症の発作リスクを大きく低下させることができるはずです。

その一方で、動脈硬化とは直接的な関係がない心筋梗塞・狭心症があります。その原因は、心臓の血管攣縮です。

心臓の血管攣縮とは

心臓の表面には、冠動脈と呼ばれる太い血管が走っています。この血管が何らかの原因によって痙攣を起こし、収縮してしまうことを血管攣縮と言います。血管攣縮によって血液の通り道が狭くなった状態が狭心症、血流が遮断された状態が心筋梗塞です。

血管攣縮による心筋梗塞患者の多くは動脈硬化も併発しているため、予防のために生活習慣の改善は必須。ただし、発作の直接的な引き金は、動脈硬化ではなく血管攣縮であることから、予防のためには生活習慣の改善に加え、血管攣縮を引き起こしている原因への対策が必要となります。

血管攣縮についての詳細は、以下のページをご確認ください。

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