心臓の前兆となる危険なめまい

心臓病をお持ちの方に限らず、めまいの経験ぐらいはほとんどの人が思い当たることでしょう。一口にめまいとは言っても、その症状や原因は様々です。中には、原因不明のめまいも決して少なくはありません。原因を絡めての説明となると、医療機関によってめまいの説明が異なることは多々あるくらいです。ここでは、心臓病に関連するめまいに軸を据えたうえで、その症状や原因に関して解説していきます。

2種類に大別される「めまい」の症状

めまいの症状は、大きく2つのタイプに分類されます。1つ目が「回転性めまい」、2つ目が「非回転性めまい」です[注1]。

回転性めまい

自分自身がグルグルと回っているかのような感覚を覚えるめまい。大半は水平方向の回転を自覚しますが、中には垂直方向に下がっていく感覚を得る症例も見られます。水平、垂直、いずれの場合でも回転性めまいに分類します。めまいと同時に、吐き気や嘔吐が見られる場合も少なくありません。症状は一過性。一定時間を安静にしていれば、状態は完全に回復します。

非回転性めまい

回転とは異なり、フラフラする感じ、または、グラグラする感じを自覚するのが非回転性めまい。立ちくらみなども、非回転性めまいに属する症状です。回転性めまいと同様、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。症状は一過性のものと、持続性のものの2種類があり。持続性のものについては、症状が数ヶ月、数年と続く場合もあります。

どのタイプのめまいでも狭心症・心筋梗塞と関連している恐れがある

回転性めまい、非回転性めまい、それぞれの原因には多くのものが考えられます。どちらのタイプのめまいであれ、狭心症や心筋梗塞などの心臓病と関連している可能性があるので、心臓に不安のある方は十分に注意しなければなりません。

回転性めまいと心臓病との関連

回転性めまいの原因の大半は、耳の三半規管に原因があります。三半規管に存在するリンパ液に異常が生じたとき、回転性めまいを生じることはよく知られているところ(耳性めまい)です。よって回転性めまいは致命的な原因を持つ症状ではないことから、大半の耳鼻科では、これを大きな問題として考えません。しかし、そのような医療機関の姿勢に対し、国立循環器病研究センターは問題を指摘しています。

同センターでは、耳性めまいを生じた患者を対象に、その背景にある持病や生活習慣などを調査。その結果、耳性めまいの患者のうち、実に39%もの人が心臓病を有していたことが分かりました。他にも、66%の人に高血圧症、27%の人に糖尿病、50%の人に脂質異常症、46%の人に飲酒習慣、36%の人に喫煙習慣が見られています。いずれも狭心症・心筋梗塞の誘因として知られる病気・生活習慣です。

非回転性めまいと心臓病との関連

非回転性めまいの原因の大半は、脳の虚血。脳に運ばれる血液が不足した際、一時的または慢性的にフラフラとした感じを自覚する症状が、非回転性めまいです。

ところで、狭心症や心筋梗塞を起こした血管の部位によっては、脈拍が異常に遅くなることがあります。あるいは、冠攣縮(冠動脈が痙攣して収縮する症状)による狭心症や心筋梗塞の場合、血液の通り道が狭くなって全身の血流が悪化することもあるでしょう。

いずれの理由においても脳では血液不足が生じ、結果として非回転性めまいを誘発することが考えられます。

めまいの原因となる心臓病以外の疾病

もちろん、めまいの全てが狭心症や心筋梗塞と関連しているわけではありません。他にも考えられる病気は、多々あります。めまいの原因となる代表的な疾病を見てみましょう。

メニエール病

  • 症状

    回転性めまい、耳鳴り、難聴、動悸、悪心、嘔吐、吐き気、冷や汗などが見られます。症状を繰り返すことで、聴力が徐々に低下してくることがあります。

  • 原因

    原因は内リンパ水腫(内耳のリンパが水膨れを起こしている状態)です。ストレス、睡眠不足、気圧変化などが誘因とされています。

  • なりやすい人の傾向

    過労や睡眠不足が常態化している人や、ストレスを多くためこんでいる人に多く見られます。几帳面な性格の人に見られる傾向もあります。

  • 治療法

    回転性めまいの症状緩和のためにメクリジンやロラゼパムなどの薬、嘔吐の軽減のためにプロクロルペラジンなどの薬、体液の圧力を軽減させたり、内耳の構造を変えたりするための手術などを行います。

  • 予防法

    塩分・アルコール・カフェインの制限、および利尿薬の服用などにより症状の発症を予防します。ストレスや過労を避けて十分な睡眠をとることも大切です。

前庭神経炎

  • 症状

    回転性めまい、吐き気、嘔吐などが見られます。特に回転性めまいの症状は強烈です。

  • 原因

    正確な原因は不明ですが、ウイルス感染や内耳の血流障害によって起こると考えられています。

  • なりやすい人の傾向

    風邪をひいた後に発症する人が多いとされています。

  • 治療法

    急性期にはステロイド薬や抗めまい薬、吐き気止め、血流改善薬、ビタミン剤などで治療を行い、回復期には体のバランスを整えるためのリハビリ治療を行います。

  • 予防法

    風邪との関連が指摘されている症状なので、風邪をひかないようにすることが効果的な予防法の一つとなります。日ごろから十分な睡眠をとること、栄養バランスのとれた食事をとること、手洗い・うがいを徹底することなどを意識しましょう。

脳梗塞

  • 症状

    小脳や脳幹で脳梗塞を生じた場合、めまいがする、半身が麻痺を起こす、ものが二重に見える、ろれつが回らない、意識がもうろうとする、頭が痛いなどの症状が現れます。

  • 原因

    脳の血管に生じた動脈硬化や血栓の影響により、脳の血流が阻害されることで脳梗塞を発症します。

  • なりやすい人の傾向

    高血圧、高コレステロール血症、脂質異常症などにより動脈硬化が進行した人に発症しやすいと考えられています。

  • 治療法

    症状や発症からの経過時間などにより、各種の薬物療法、または外科手術などで治療が行われます。後遺症を最小限に抑えるためのリハビリも重要な治療の一つとなります。

  • 予防法

    偏食や暴食を避け、バランスのとれた食事を適度にとりましょう。有酸素運動などの運動習慣も脳梗塞の予防に効果的です。

脳出血

  • 症状

    小脳や脳幹で脳出血が生じた場合、めまいを感じることがあります。ほかにも、頭痛や歩行困難、発声異常、目の見えにくさ、意識状態の悪化、嘔吐、痙攣、呼吸障害などが見られることもあります。

  • 原因

    脳出血の最大の原因は高血圧です。食習慣や運動習慣、喫煙習慣などが高血圧と関係しています。

  • なりやすい人の傾向

    食生活が乱れている人(暴飲暴食がちな人)や、運動不足の人、肥満体型の人、イライラしやすい人などに発症しやすい傾向があります。

  • 治療法

    血圧を下げる薬や脳の腫れをとる薬などによる薬物療法のほか、必要に応じ開頭手術で血の塊を除去することもあります。後遺症を最小限に抑えるためのリハビリも重要な治療です。

  • 予防法

    塩分を摂り過ぎないこと、過食傾向を改めること、適度な運動を習慣化すること、肥満を解消すること、イライラしないこと、禁煙することなどが脳出血の予防に有効です。

低血圧

  • 症状

    めまい、ふらつき、失神、頭痛、倦怠感、動悸、肩こり、胸痛などの症状が見られます。重度の低血圧が長時間続いた場合、すべての臓器が機能不全に陥ります。

  • 原因

    本態性低血圧症は遺伝・体質により生じます。また症候性低血圧症は、大出血や心臓病、胃腸疾患、内分泌異常、末期がんなどにより生じます。

  • なりやすい人の傾向

    本態性血圧症の場合、痩せ型の人、顔色が青白い人、神経質な人、寒がりな人、虚弱体質の人、疲労を感じやすい人などに発症しやすいと言われています。

  • 治療法

    以下「予防法」とあわせて、症状に応じて昇圧剤や抗不安剤などの薬物療法を行うことがあります。

  • 予防法

    過労を避けて十分な睡眠をとること、運動をして筋肉を鍛えること、バランスの良い食事をとること、水分を多めにとること、ゆっくりと動作を行うこと、食後にカフェインをとること、温度差に注意することなどが低血圧の予防に良いとされています。

貧血

  • 症状

    めまいのほか、動悸や息切れ、頭痛、倦怠感などを自覚することがあります。症状が悪化すると失神する場合もあります。

  • 原因

    大半の貧血は鉄分不足を原因としています。鉄分は、全身に酸素を運ぶヘモグロビンの生成に欠かせない成分。鉄分不足からヘモグロビン不足を招き、その結果、貧血となります。

  • なりやすい人の傾向

    男性よりも女性に起こりやすい傾向があります。女性の中でも、特に生理中の人やダイエット中の人に生じやすいと言われています。

  • 治療法

    鉄剤やビタミンCの内服を通じて症状の改善を目指すことがあります。

  • 予防法

    栄養バランスのとれた食事を心掛けるとともに、特に意識して鉄分を多く含む食材(レバーやほうれん草など)を積極的にとるようにしましょう。市販の鉄剤を利用することもおすすめです。

月経前症候群

  • 症状

    めまい、食欲不振、倦怠感、のぼせなどの自律神経症状、情緒不安定、イライラ、集中力低下、抑うつなどの精神神経症状、腹痛、頭痛、むくみ、乳房の張りなどの身体的症状が見られます。

  • 原因

    明確な原因は不明ですが、排卵のリズムに合わせた女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量の変化が、月経前症候群の発症に関与していると言われています。

  • なりやすい人の傾向

    ストレスをためこみやすい人や、完璧主義の人、几帳面な性格の人などが月経前症候群になりやすいと言われています。

  • 治療法

    女性ホルモンの視点から低用量ピルによる症状緩和を目指すとともに、個別の症状に応じて、利尿剤や精神安定剤、漢方薬などが処方されます。

  • 予防法

    栄養バランスを意識した食事をとりましょう。具体的には、ビタミンB6(レバー、まぐろ、ニンニクなど)、ビタミンD(干ししいたけ、サンマ、鮭など)、カルシウム(チーズ、乳製品、魚など)、マグネシウム(納豆、木綿豆腐、きなこなど)を意識的に多く摂取します。

更年期障害

  • 症状

    めまい、動悸、頭痛、肩こり、ほてり、ホットフラッシュ、のぼせ、背中の痛み、腰の痛み、関節の痛み、疲労感、冷え、不眠、情緒不安定、イライラ、気分の落ち込み、意欲低下など。人により多様な症状があります。

  • 原因

    加齢にともなうエストロゲン(女性ホルモンの一種)の減少をベースに、その他の身体的要因、性格などの心理的因子、職場や家庭における社会的因子が複合的に関与して発症するとされています。

  • なりやすい人の傾向

    諸説ありますが、不規則な生活を送っている人や、過度なダイエット経験者などが更年期障害になりやすい傾向があると言われることがあります。また、遺伝的要素も指摘されています。

  • 治療法

    ホルモン補充療法を中心に、症状や医師の方針によって漢方薬が処方されることもあります。精神症状が著しい人には、向精神薬が処方されることもあります。

  • 予防法

    大なり小なり、更年期障害はどんな女性でも経験します。完全に予防することは難しいと考えてください。エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボンを積極的にとりつつ、栄養バランスのとれた食事や精神的なリフレッシュを心掛けることで、症状の緩和を目指していきましょう。

うつ病

  • 症状

    気分の落ち込みや寂しさなどの精神症状のほか、不眠やめまい、疲れやすさ、口の乾き、便秘・下痢、動悸、息切れ、食欲減退、体重減少などの身体症状も見られます。

  • 原因

    遺伝的な原因のほかに、人間関係や妊娠、育児、異動、昇進、失職、疲労、ホルモンバランスの変化、甲状腺機能異常、脳血管障害など、さまざまなものがうつ病の発症原因となります。

  • なりやすい人の傾向

    几帳面で完璧主義の性格の人がうつ病を発症しやすいと言われていますが、この見解に関しては賛否があります。

  • 治療法

    症状の程度や種類に応じ、精神療法、薬物療法、電気けいれん療法、光療法などが検討されます。

  • 予防法

    ストレスをためないことや、過労を避けること、十分な睡眠をとること、悩みを一人で抱え込まないことなどが、うつ病を予防するうえで大切です。

心筋梗塞や狭心症の予防方法

狭心症や心筋梗塞の原因を大別すると、動脈硬化、血栓、血管攣縮の3種類があります。逆から考えれば、動脈硬化、血栓、血管攣縮を予防することこそ、狭心症や心筋梗塞の予防にもつながる、ということです。

動脈硬化・血栓の予防法

動脈硬化も血栓も、その原因の大半は生活習慣にあります。暴飲暴食をしない、適度な運動をする、血圧の管理を怠らない、標準体重を維持するよう心がける、血糖値を上げない、禁煙するなど、生活習慣を見直すことにより、動脈硬化と血栓を原因とする狭心症・心筋梗塞を予防することができるでしょう。

血管攣縮の予防法

長く原因が不明だった血管攣縮ですが、山口大学医学部の小林誠教授らの研究チームが、SPCという物質が血管攣縮の誘因であることを発見。この物質の活性を抑える「小林式EPA」という成分の抽出に成功しました。 現状、血管攣縮を予防に対しては「小林式EPA」摂取が有効と考えられます。

恐ろしいのは血管攣縮による狭心症・心筋梗塞

突然死の恐れもある狭心症や心筋梗塞。その原因は、動脈硬化・血栓・血管攣縮の3種類です。これらのうち、動脈硬化と血栓については、その人の意識次第(生活習慣の改善次第)で予防できることを説明しました。

しかし血管攣縮については、生活習慣との関連も指摘されてはいるものの、本人の意識改革だけで予防することは極めて難しい、と理解しておかなければなりません。

ただし前述の通り、山口大学の研究チームにより血管攣縮が生じるメカニズムが解明されています。その予防に効果的な成分、およびその成分の抽出技術も確立されました。血管攣縮の恐ろしさ、そして、その予防法についてより深く理解するために、以下のページもご参照ください。

【ご注意!】血管の異常な収縮

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