止まらない冷や汗!心臓病が原因なのか?

実は、汗のかき方や量は人間の体が発しているサインであり、健康状態や体調の変化を読み取るバロメーターともいわれています。そしてまた、暑いわけでもないのに吹き出す冷や汗は、心臓病を始めとして、様々な病気の兆候を示す重要なヒントです。

冷や汗は心臓病の危険信号なのか?

心臓病と聞くと、いかにも重い病気を想像する人もいますが、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患は生活習慣病の1つともいわれ、自覚症状のない人も含めれば、非常に多くの患者がいるとされています。

心臓病が進行して心臓の細胞が破壊されたり、ポンプ機能が低下したりすると、全身へと送り届けられる血液量が減少し、それに伴って様々な症状が現れます。

心臓病の3大症状としては、「動悸・胸痛・息苦しさ(呼吸困難)」が挙げられますが、これらの他にも心筋梗塞やポンプ機能の低下に由来する症状も少なくありません。

特に、高齢者で心臓病が悪化して心不全が引き起こされると、以下のような症状が現れます。(※1)

  • 冷や汗
  • 疲労感
  • 低血圧
  • 手足のチアノーゼ(酸欠)
  • めまいや意識障害
  • 意識障害
  • 食欲不振、嘔吐感
  • 便秘

また、高齢者に限らず心筋梗塞が発症した患者では、胸部への激しい痛みに加えて、冷や汗や不安感を併発することも多く、その為、突然の動悸や胸痛、息苦しさ、冷や汗などの症状が同時に現れた場合は、直ちに医療機関で検査や治療を行うことが賢明です。

冷や汗が心臓病によって引き起こされる理由

心臓の中は左右の心房、左右の心室と4つの空間に分けられており、簡単にいえば心臓の右側は「肺へ血液を送り出す働き」を持ち、心臓の左側は「全身へ血液を送り出す働き」を持っています。

例えば心不全が起こると、心臓から全身へと供給される血液量が減り、体中の各器官や脳に必要な栄養や酸素が不足してしまいます。その結果として現れるものが、動悸や疲れやすさ、めまい、他にも手足の色が青白くなるチアノーゼといった症状です。また、酸欠状態になった脳は生命の危機を感じて、全身に非常事態宣言ともいえるサインを発しますが、その1つとして冷や汗を挙げることができるでしょう。

心不全による心臓機能の低下は、心臓と太い血管で連結されている肺への血液供給にも支障を来します。

心臓のポンプ機能が弱まれば、血液の流れが弱まったり、血液の流れが止まったりしてしまい、肺に血液がたまって、うっ血状態が引き起こされる恐れも高まります。肺の状態が悪くなれば、当然ながら呼吸もしづらくなるので、息苦しさや胸の痛みを感じたり、さらなる酸欠状態に陥ったりという悪循環も生じるでしょう。

冷や汗から考えられる他の病気

冷や汗は心臓病の他にも、様々な病気の兆候として見逃せない症状です。

例えば、血糖値がおよそ「70mg/dl」を下回って低血糖状態になると、まず交感神経に関わる症状が現れます。寒気や冷や汗、動悸や不安感はその一例です。

なお、さらに悪化すれば頭痛や目のかすみ、集中力の低下、やがて意識障害やけいれんといった命の危険に関わる症状にも発展するので、低血糖が疑われた場合は早急にジュースやアメなどで「糖分(ブドウ糖)」を補給しなければなりません。(※2)

貧血の場合も、冷や汗がしばしば見られます。貧血とは血液中の赤血球量が低下して、酸素の運搬量が減ることにより、全身が酸欠状態に陥ってしまう症状です。心臓は血液が薄まった分、ポンプとして血液を送る鼓動の回数を増やすことで酸素不足を解消しようとするので、貧血時は冷や汗やめまいだけでなく、動悸がすることも珍しくありません。

脳梗塞が発症した際にも、冷や汗が症状の1つとして現れることがあります。特に上手く言葉を発せられない言語障害や、食べ物を飲み込めない嚥下障害、真っ直ぐ立てない平衡障害、ものをつかめない運動障害、舌や指先の感覚がないといった感覚障害などに加えて冷や汗や耳鳴りが現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶことが賢明です。

薬物や食事、虫の毒によるショック症状(アナフィラキシー・ショック)でも冷や汗は重要な判断ポイントです。なお、「ショックの5徴候(5P)」と呼ばれるものの症状としては、「冷や汗」に加えて、「顔面蒼白」「虚脱」「脈拍を感じられない」「呼吸不全」が挙げられます。(※3)

冷や汗は神経の不調によって引き起こされるので、うつ病やパニック障害などの精神疾患でもしばしば現れる典型症状の1つです。また、これに絡んで深刻な病気に心気症も挙げられます。

心気症とは、医学的には特別な異常が見られないにも関わらず、ふとした体調の変化や不調に対して、自分はきっと重篤な病気にかかっているんだと不安感を強めてしまい、結果として本当に体の調子を崩してしまう病気です。(※4)

もちろん、普段から自分の健康や体の状態を気にかけて、何らかの異常を察知したら速やかに医療機関を訪れることは間違いでありません。しかし、実際に医師の診断を受けたり、検査をしたりする前から、病名や症状について勝手に決めつけてしまうのは危険です。

確かに、冷や汗は様々な病気の徴候として挙げられる症状の1つですが、慢性的な肩こりによって自律神経が乱され、顔や手足に汗をかくということもあります。

大切なことは、自分の体に現れている諸症状について冷静に把握し、医師の問診の際に診断を助ける情報として、正しく伝えるということです。

低血糖

  • 症状

    冷や汗、動悸、ふるえ、空腹感、倦怠感、眠気、脱力感、めまい、疲労感、集中力低下、不安感、悪心、抑うつ、異常行動、昏睡など、さまざまな症状が見られます。冷や汗は低血糖の初期段階で見られる症状です。

  • 原因

    炭水化物の摂取量不足、インスリン注射の不適切な使用、過度な運動、空腹時における運動、飲酒、入浴などが直接的な原因となって低血糖が生じます。

  • なりやすい人の傾向

    薬で糖尿病の治療を行っている人に、高い頻度で見られる傾向があります。インスリン注射をはじめ、薬を使用する際には、使用方法を厳格に守らなければなりません。ダイエット中の女性などにも低血糖傾向が見られることがあります。

  • 治療法

    発作を感じた場合には、すぐにブドウ糖や砂糖、ブドウ糖を多く含む清涼飲料水などを摂ります。グルカゴン(血糖を上昇させるホルモン剤)が手元にある場合には、家族などの協力を得て注射しましょう。

  • 予防法

    どんな時に自分の体が低血糖になりやすいのかを知り、その状況を避けるよう生活することが大切です。低血糖の傾向があり、かつ車を運転する方は、運転中の発作による事故を防ぐため、車内にブドウ糖を含んだ食品を常備しておくようにしましょう。

貧血

  • 症状

    冷や汗、めまい、動悸、息切れ、頭痛、倦怠感など、さまざまな身体症状を自覚します。症状が悪化した場合、失神することもあります。また失神にともなう転倒により、外傷を負うこともあります。

  • 原因

    貧血の原因の大半は鉄分不足です。鉄分が不足することにより、全身に酸素を運搬するヘモグロビンの生成量が減少。結果、全身で酸欠が生じて貧血へといたります。

  • なりやすい人の傾向

    貧血は、男性よりも女性に多い症状です。特に、生理中の女性や、過度なダイエットを行っている女性に多く見られます。

  • 治療法

    ヘモグロビンの材料となる鉄分を内服し、かつ、ヘモグロビンの生成に関与するビタミンCを内服します。これらの処置によって貧血症状が劇的に改善する人も少なくありません。

  • 予防法

    鉄分を多く含む食材(レバー、魚、ほうれん草など)を意識的に多く摂取するようにします。鉄分を含む食材が苦手な方は、市販されている鉄剤(ヘム鉄)を利用しても良いでしょう。

脳梗塞

  • 症状

    冷や汗、めまい、半身麻痺、ものが二重に見える、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状が現れます。頭痛を自覚する人もいるようですが、多くの場合は無痛と言われています。

  • 原因

    動脈硬化や血栓などの影響により、脳の血管が狭窄したり詰まったりすることで脳梗塞が発症します。

  • なりやすい人の傾向

    動脈硬化が進行した人やメタボリックシンドロームの人に発症しやすいと言われてます。健康診断で高血圧や高コレステロール血症、脂質異常症などを指摘された人は注意しなければなりません。

  • 治療法

    症状のタイプや程度、発症からの経過時間によって、各種薬物療法や外科手術などが検討されます。後遺症を最小限に抑えるため、急性期からリハビリ治療もスタートします。

  • 予防法

    脂の多いジャンクフードなどを食べすぎず、栄養バランスの摂れた食事を適量だけ摂ることが大切です。あわせて適度な運動を習慣化することにより、メタボリックシンドロームの予防、ひいては脳梗塞の予防へとつなげていきましょう。

アナフィラキシー

  • 症状

    冷や汗、動悸、めまい、かゆみ、皮膚の紅潮、鼻水、咳、じんましん、喘息、気道収縮、嘔吐、下痢などの身体症状、および不安感や興奮などの精神症状が現れることがあります。最悪の場合、呼吸停止や血圧低下により死亡することもあります。

  • 原因

    ハチやアリなどによる虫刺され、卵やそばなどの食材、抗生剤や造影剤などの薬物、天然ゴム、日光、冷気などが原因となってアレルギー反応を起こし、アナフィラキシーへといたります。

  • なりやすい人の傾向

    いわゆるアレルギー体質の人に起こりやすいとされています。特に食物アレルギーを持つ人は、外食の際などに注意しなければなりません。

  • 治療法

    抗ヒスタミン剤や気管支拡張剤など、症状の種類や程度に応じ、医師の判断で適切な治療が選択されます。過去にアナフィラキシーを発症したことがある人は、発作に備えてアドレナリン注射を携帯している人もいます。

  • 予防法

    アレルゲンを避けることが、もっとも大切な予防法です。食物アレルギーがある人は、その食材を摂らないだけでなく、触れないように注意しましょう。短期間でハチに複数回刺されるとアナフィラキシーを発症することがあるので注意しましょう。

うつ病

  • 症状

    気分の落ち込み、疎外感、自殺願望、無気力などの精神的症状のほか、冷や汗や動悸、息切れ、疲労感、不眠、めまい、便秘、下痢、口の乾きなどの身体的症状も多く見られます。

  • 原因

    遺伝的体質、特定の薬の副作用、女性ホルモンの分泌量の変化、職場や近隣での人間関係、仕事などによる精神的・肉体的疲労、妊娠、育児、脳血管障害、睡眠不足、甲状腺機能異常など、さまざまなものがうつ病の原因となります。

  • なりやすい人の傾向

    几帳面な性格の人、真面目な性格の人、完璧主義の人などがうつ病になりやすいと言われています。ただし、こうした性格傾向とうつ病との関連性については否定的な見解も多く見られます。

  • 治療法

    症状が軽度であれば精神療法のみで改善することもありますが、症状が中等度以上である場合には、精神療法に加えて薬物療法も検討されます。ほか、電気けいれん療法や光療法などが行われることもあります。

  • 予防法

    ストレスをためずに解消を図ること、悩みを一人で抱え込まないこと、疲労を蓄積させないこと、睡眠不足を避けることなどが、うつ病の予防に良いとされています。

パニック障害

  • 症状

    冷や汗、手足のふるえ、動悸、息切れ、頻脈、胸痛、吐き気、めまい、口の乾き、下痢などの身体的症状などのほかに、恐怖感や不安感、孤独感などの精神的症状が起こる場合があります。

  • 原因

    遺伝的要因が3割、環境的要因が7割と言われています。主な環境的要因は、ストレス、トラウマ、喫煙、カフェイン摂取などです。

  • なりやすい人の傾向

    男性よりも女性に発症しやすい病気として知られています(女性の発症率は男性の約2倍)。また、喫煙習慣のある人やカフェインを多く摂取する傾向のある人に発症しやすいと考えられています。

  • 治療法

    抗うつ剤(SSRI)、抗不安薬(精神安定剤)、漢方薬を中心とした薬物療法が中心です。精神療法が並行される場合もあります。また症状のタイプに応じ、抗精神病薬や気分安定薬が使われることもあります。

  • 予防法

    規則正しい生活サイクル、十分な睡眠時間の確保、適度な運動習慣などが予防のベースとなります。そのうえで、カフェイン制限やアルコール制限、禁煙などを目指しましょう。

男性更年期障害

  • 症状

    冷や汗、多汗、精力低下、勃起障害、性機能低下、筋力低下、ほてり、頻尿、肥満、頭痛、めまい、筋肉痛などの身体症状、および、無気力、不安感、イライラ、集中力・記憶力の低下などの精神症状が見られることがあります。

  • 原因

    男性ホルモンの一種であるテストステロンが減少することにより、男性更年期障害が発症します。個人差はありますが、おおむね40代後半からテストステロンが減少しはじめます。

  • なりやすい人の傾向

    人や社会との関わりを持ちたがらない人、運動が嫌いな人、睡眠不足の人、ストレスをためやすい人などが男性更年期障害になりやすいとされています。40代後半から50代を中心に好発します。

  • 治療法

    男性ホルモン補充療法が行われます。注射による男性ホルモン補充を3~4週間に1度のペースで3ヶ月実施。効果が見られた場合には更に3ヶ月延長し、効果が見られなかった場合には漢方薬による治療が検討されます。

  • 予防法

    スポーツやゲームなどで競い合うこと、体を動かすこと、睡眠の質を上げること、ストレスをためないこと、人や社会と関わることなどでテストステロンの減少を抑え、症状の発症の予防を目指します。

心筋梗塞や狭心症の予防法は?

肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などが一般的に生活習慣病として知られていますが、厚生労働省の定義によると、生活習慣病とは「不適切な食生活、運動不足、喫煙などで起こる病気」の総称であり、実は脳卒中や心臓病、大腸がんなども全て、先天的な疾患を除いて「生活習慣病」に含まれています。

つまり、心臓病の最大の予防法とは、食事の内容、運動頻度、禁煙といった生活習慣の改善といえるでしょう。(※5)

心筋梗塞や狭心症の原因は?

動脈硬化

血管(冠動脈)の内壁にコレステロールが付着し、血管が硬く、また内部が狭くなっていく動脈硬化は、血流が悪化する原因であり、心臓病など多種多様な病気の原因でもあります。

血栓

血流が悪化すれば、血管内に血の塊(血栓)が生まれやすくなり、場合によってはそれが血流に載って体の各器官へ運ばれるかも知れません。そして、もしも動脈硬化によって細くなった心臓の血管に血栓がつまれば、血液の流れが遮断され、心筋に深刻な栄養不足や酸欠、さらには壊死を引き起こします(心筋梗塞)。

血管攣縮

動脈硬化や血栓は、心臓病など生活習慣病の原因として一般にも広く知られたものでしょうが、実はそれら以外にも狭心症や心筋梗塞の病因として注意しなければならないものがあります。それが「血管攣縮」と呼ばれる、血管のけいれんです。

血管攣縮が起こった血管は縮んで狭くなる為、冠動脈で起これば血流障害が誘発され、狭心症の発作などにつながります。

血管攣縮は突発的に起こる為、検査による事前の発見も困難な恐ろしい病気であり、注意しなければなりません。

(※6)

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