急性期のリハビリとは

心筋梗塞発症後、間もなく始まる急性期リハビリ
急性期のリハビリテーションは、心筋梗塞を発症して急性期の治療を終えた数日後から始められます。早いうちからリハビリを開始するのは、寝たきりになって体力をますます低下させないためです。まずは身の回りのことができるように、体を動かし始めます。次の段階である回復期リハビリに移行するためにも、急性期に体力を回復させることが大切です。

急性期とは

急性期は、心筋梗塞の発症、あるいは手術日から1~2週間の時期のことです。病気や治療によって体力が著しく低下しているときですが、ベッドで安静にばかりしているのでなく、歩行トレーニングなどを開始する時期でもあります。

集中治療室での治療

心筋梗塞を発症して病院に運ばれると、集中治療室に入ることがあります。急性期に注意しなければならないのは、合併症です。うっ血性心不全や不整脈、心破裂などが主な合併症の種類ですが、集中治療室にてケアを受けることによって、リスクは改善されます。合併症を起こさないように気をつけながら、心臓リハビリテーションをスタートすることも、急性期の1~2週間に必要なことです。

回復期に向けて

急性期の治療を受けながらも、段階的に負荷を増やしていく心臓リハビリテーションが始まります。まずは、洗面やトイレといった身の回りのことを自分でできるようになることが目標です。治療の経過がよければ、入院4日目頃からは歩行テストを受けることになります。その際は病棟内で歩行トレーニングをすることになりますが、まだまだ無理は禁物です。性期は、回復期に向けて徐々に進んでいく時期。リハビリは合併症にも注意しながら、医療スタッフがそばについて行われます。

急性期の治療

心筋梗塞の急性期には、一刻を争う治療が必要です。閉塞した冠動脈を、いかにスピーディーに再開通させて、障害が進行している心筋細胞を救うかが、急性期治療の急務といえるでしょう。主に選択されている治療法は、再開通療法です。

血栓溶解療法

心筋梗塞の発症から12時間以内であれば、再開通療法による治療が選択できます。再開通療法には2種類あり、その1つが血栓溶解療法です。最近はカテーテル治療を導入する病院が一般的なため、血栓溶解療法はカテーテル治療の設備などが整わない病院で行われる傾向にあります。血栓溶解療法はさらに、静脈内に血栓溶解剤を投与する方法と、カテーテルを使って閉塞している冠動脈の中に血栓溶解剤を直接投与する方法(冠動脈内血栓溶解療法)の2種類に分けることができます。

カテーテル治療

心筋梗塞の診断に用いられる冠動脈造影検査と同じ手順で行われる治療法です。細く柔軟な針金を狭くなった冠動脈まで通し、針金にそって風船のついたカテーテルを狭さく部に導いたら、バルーンを膨らませて狭さく部を押し広げます。カテーテル治療は、患者さんに負担の少ない有効な治療法です。メスを使うこともなく、冠動脈の血流を保てます。デメリットは、拡張に成功しても、2~3割の人には血管が再び狭さくが起きることです。これを防ぐために、広げた血管の内部に狭さくを防ぐための金属の網を挿入する方法がとられています。また、CABGなどのバイパス術も治療の1つです。カテーテルによる治療が困難な場合には、冠動脈の血流を変更させるバイパス術の適応となる場合もあります。

急性期リハビリの目的

急性期リハビリの目的は、心臓に適度な負担をかけて回復を促すことです。低下した体力を徐々に増加させて、身の回りの日常的な活動や歩行の練習をしていきます。心臓や全身状態の機能評価を経て、回復期に向かう手前の段階です。

身の回りの活動を可能に

急性期は、心筋梗塞の発症で入院して間もない時期。集中治療室や一般病棟で、洗面、シャワー、歩行、排せつなど、日常的な動作を完全にこなせるようになることがリハビリの目標です。急性期の治療をしながら行う心臓リハビリテーションは、病状にあわせて、段階的に活動量を増加していきます。心臓機能評価のテストを経て、生活指導や禁煙指導を受けることも、リハビリの一環です。急性期は合併症を起こしやすいため、リハビリの際も医療スタッフが常にそばにつきます。

心筋梗塞再発予防に向けた教育

心筋梗塞の原因とされる動脈硬化は生活習慣病の一種です。心臓リハビリテーションを続けていかないと、動脈硬化を進行させて心筋梗塞を再発してしまうリスクがあります。そうさせないためには、心筋梗塞の再発を予防する方法を学ぶことが必要です。正しい知識を持ち、運動療法や食事療法に取り組むのと、漠然とリハビリを続けるのとでは、継続への意欲や効果も違ってきます。心筋梗塞を再発させないという意志があってこそ、リハビリを続けることもできるのです。

急性期リハビリの注意点

急性期は、心筋梗塞を発症し、集中治療を受けてから間もない時期です。経過によっては心臓リハビリテーションに進めないケースもあり、リハビリ中の症状にも注意が必要です。急性期リハビリ中に注意すべき点について紹介します。

早期に開始すること

急性期リハビリは、心筋梗塞発症後あるいは集中治療後、4日目頃にはスタートするのが望ましいとされています。寝たきりでいることによる体力の低下を防ぐため、集中治療を終えてベッドで安静にする期間は12~24時間以内にすることが大切です。急性期には、まだ回復期リハビリのような社会復帰を目的としていません。長期的に安静にすることによって生じる、体力的・精神的な衰えを進行させないことが、重要なポイントです。

体調が悪いときは無理をしない

急性期には、再梗塞や心破裂などの合併症や、狭心症、不整脈、心不全などのリスクを避けることがリハビリより優先されます。そのため、万が一状態が悪くなれば、心臓リハビリテーションはいったん中止するべきです。そばに医療スタッフはついているので、無理をしたり、我慢をしたりする必要はありません。心臓評価機能テストも逐一行われ、経過を見ながらのリハビリとなりますから、焦らずにコツコツと取り組むことが大切です。体調が悪いときは、無理せずリハビリを中止しましょう。

 

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