心臓リハビリテーションの効果とは

心臓リハビリテーションの効果をエビデンスに基づいて紹介
心筋梗塞発症後にリハビリテーションを始めるということは、身体的にも精神的にも症状を改善することにつながります。心筋梗塞の再発予防のためにも、リハビリは欠かせません。心臓リハビリテーションの効果は、エビデンス(証拠)によっても示されているものです。心筋梗塞の予防対策として行うリハビリの効果を紹介します。

心臓リハビリテーションとは

心臓リハビリテーションは、心筋梗塞発症後に心身ともに回復し、快適な社会復帰をするための多面的な取り組みのこと。心筋梗塞の原因となる動脈硬化などの進行を防ぎ、心臓病の発症と死亡率の低下を目指すための取り組みでもあります。

リハビリのプログラム

リハビリのプログラムには、3つの要素があります。1つ目は運動トレーニングと運動処方、2つ目は冠危険因子の軽減と再発予防、3つ目は不安やうつに対策して社会復帰するためのカウンセリングです。プログラムの期間は150日程度であり、急性期・回復期・維持期の3つに分類され、実行されます。心臓リハビリでは、心筋梗塞後の運動能力や冠危険因子を改善することが目的です。生活の質を向上させることにより、心筋梗塞の再発予防や死亡率を低下させる効果がエビデンスとして確立されています。

段階的に進められる心臓リハビリテーション

リハビリは、急性期・回復期・維持期と段階的に進められます。それぞれに、次の期間へと移行する目標があり、クリアすると次に進んでいける仕組みです。急性期リハビリの中心は歩行トレーニング。簡単に思うかもしれないですが、おろそかにできない段階です。回復期には、運動療法が取り入れられ、同時に座学も開始します。心臓病や再発について、薬や食事、生活習慣、今後のリハビリの仕方について講義を受けます。維持期は、生涯にわたって取り組むリハビリです。

心臓リハビリテーションの効果

心臓リハビリテーションの効果は多面的です。体を楽に動かせるようになり、自覚症状が軽くなることから、精神的にも前向きになってきます。快適な生活ができるようになるのと同時に、心筋梗塞の再発予防にもつながるのです。

快適な生活の回復と継続

リハビリを行うことによる運動能力の回復、増加にともない、体を楽に動かしやすくなり、社会生活を快適に送れるようになります。体を動かせるようになると自律神経のバランスが整いやすくなるため、不安やうつ状態の改善も期待できるでしょう。さらに社会復帰する意欲も向上し、元の生活へと戻るということにつながります。心臓リハビリテーションの回復期の目標は、社会復帰です。気持ちよく生活を送れるようになることで、リハビリを継続することができ、社会復帰もしやすくなります。

心筋梗塞の再発予防効果

心臓病の症状が軽くなり、動脈硬化の危険因子を防げるのも、心臓リハビリテーションの効果のひとつです。リハビリを続けていると血栓ができにくくなることから、心筋梗塞の再発リスクが抑制されます。心筋梗塞の再発を防ぐことができれば、心臓病による死亡率の低下を目指すことが可能です。体の動きを回復させることだけが目的のようにイメージされがちなリハビリテーションですが、心臓リハビリテーションはこれほど多面的で大きな効果を得ることができます。しかし、大きな効果を得るためには、コツコツと続ける地道な努力が必要です。

心臓リハビリテーションのエビデンス

心臓リハビリテーションは、その有効性に基づいて発展を続けています。各国で研究が続けられており、死亡率や再発リスクの低下などの結果が報告されエビデンスが構築されています。

死亡率の低下

冠動脈疾患や心不全の方を対象にした研究では、心臓リハビリテーションに取り組んだグループのほうが死亡数が低いことが明らかに。総死亡では13%、心血管疾患による死亡は26%もの低下が見られました。また、心不全の患者さんでは、症状の悪化による再入院の割合が39%低下していることも見逃せません。アメリカの心筋梗塞患者さんを対象にしたコホート研究でも、退院後3年以内に死亡した方の48%がリハビリ不参加によるものと報告があることから、リハビリの効果は高いものといえるでしょう。

心イベントの回避

日本でもリハビリに取り組んだ心不全患者さんを対象にコホート研究が行われています。その研究では、身体活動能力が高いグループは心筋梗塞や不安定狭心症といった心イベントにかかる割合が低いことが判明。また、欧米のデータにはなりますが、運動療法と通常治療の効果を10年間かけて比較した研究でも、運動療法を実施したグループでは心イベントが著明に少ないことが報告されています。

運動能力が低い人でもできる?

もともと運動能力が低かった人が、心筋梗塞によって、さらに運動能力を落としてしまうこともあります。そのような人でも、リハビリは行えるのでしょうか。実は、運動能力が低下した人ほど、リハビリの効果は出やすいといわれています。

心臓リハビリテーションによる運動能力の向上

心筋梗塞を発症すると、歩行もままならないほどに体力が著しく低下してしまいます。そんな状態のなかで、体力が回復、増加して、歩行や様々な社会生活を快適にこなせるようになるのは、心臓リハビリテーション効果だといえるでしょう。ある循環器病専門病院での調査では、心臓リハビリに参加した患者の運動能力が、開始時と3ヶ月後で明らかな向上の変化を見せているという結果が発表されています。この報告では、入院中には200m歩くのもやっとだった人が、リハビリによって、買い物に外出できるようになるほどに回復したそうです。

心臓の強さとは関係ないリハビリの効果

リハビリの効果が出やすいのは、もともと心臓が強くて運動能力が高い人と思われがちです。しかし、リハビリを始める前の心臓の収縮度と3ヶ月間のリハビリによる運動能力の増加率を比較してみると、もともとの心臓の強さは関係ないことが明らかになっています。心臓が強い人でも弱い人でも、リハビリの効果が出るのです。むしろ、運動能力が低かった人のほうが、運動能力の向上がみられることもあります。

 

心筋梗塞・狭心症を予防
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