睡眠

人間にとって睡眠は、疲れやストレスを癒し、健康な体を維持して明日への活力を満たすために必要な時間です。睡眠不足や浅い眠りが続くと、心臓にとってもよくありません。運動や食生活を見直すことと並行して、心筋梗塞を予防するための睡眠のとり方についても考えてみましょう。

睡眠不足は心臓の負担に

短い睡眠時間

通常、起きているときは交感神経が優位にはたらき、眠っているときは副交感神経が優位になります。血圧は交感神経が刺激されることによって上昇するため、睡眠時間が短いと交感神経が優位な状態が続いてしまい、高血圧を招く原因となるのです。

血圧が高い状態が続くと、それだけ血管や心臓にも負担がかかるでしょう。血管や心臓の負担が大きくなると、動脈硬化から心筋梗塞へ発展するリスクも高まってしまうのです。

睡眠の質がよくない

十分な睡眠時間を取っているつもりでも、夜中に何度も目が覚める・疲れが取れないといった状態が続く場合、睡眠の質が悪い可能性を疑ってみましょう。質のよい睡眠が取れていないことも、睡眠時間が短いのと同様に心臓に負担をかけてしまう原因となります。

睡眠の質を下げる理由のひとつとして、睡眠時無呼吸症候群には注意が必要です。睡眠時に無呼吸が続いていては、当然質のよい睡眠は取れません。結果、血圧の高い状態から心筋梗塞を引き起こすリスクが高まってしまいます。

理想的な睡眠のために

7時間程度の睡眠時間を確保

成人が1日に確保するのが望ましい睡眠時間は、7時間程度とされていますが、最適な睡眠時間には個人差があります。7時間布団で横になっていても何度も起きてしまう方や「よく寝た」という感覚があまりない場合、睡眠時間が足りているとはいえません。

一方で睡眠時間が7時間より少なくても「ぐっすりと寝た」「よく眠れた」という感覚があるなら、十分に睡眠が取れているといえるでしょう。

体内時計を整える

毎日決まった時間に寝起きをすることで、脳や体を休めるリズムを作ることも、質のよい睡眠を取るためには必要です。朝の日の光で目覚め、夜に眠りにつくことで体内時計が整い、スムーズに深い睡眠を得ることができます。

眠りやすい環境をつくる

ぐっすりと眠るための環境づくりも、質のよい睡眠をサポートしてくれます。上質な寝具をそろえる、寝室の照明や温度を自分好みに調節する、騒音をさえぎるなど、寝室の環境を眠りに入りやすく、またしっかりと眠れるよう整えてみてください。

眠る前の準備

リラックスした状態で睡眠を取るためには、寝る前の準備にも気を配ってみましょう。そのためには就寝前に適度な運動を行い、刺激物の多い食事は避け、ゆっくりとぬるめのお湯につかることです。また寝る前にスマホの画面を長時間見ないようにすると、寝つきのよさに繫がります。

短い昼寝を取る

可能であれば、日中に短い昼寝の時間を設けてみましょう。15時前までに、20~30分程度の仮眠を取ることで睡眠の質が改善し、気分がすっきりとして日中の作業能率もアップします。しかし長くだらだらと仮眠を取ってしまうと、かえって頭がぼんやりしてしまうため、あくまでも昼寝は短めに取るのがポイントです。

休日の寝だめはNG

寝だめは心筋梗塞の恐れも

恒常的な睡眠習慣が一時的に乱れた場合、心血管疾患や糖尿病のリスクが高まるとの研究結果が発表されました。
同データを発表したのは、米国ピッツバーグ大学の研究グループ。447人の健康な中年層を対象に、平日の睡眠スケジュールと休日の睡眠時間との比較を行いました。
研究の結果、平日と休日の睡眠時間に差があればあるほど、代謝系への健康被害の確率が上がることが判明。運動、飲酒、カロリー調整などの生活習慣要因を排除した状態でも同じような結果が得られたことから、平日と休日の睡眠時間の差はダイレクトに健康被害の要因になる、と結論付けられました。
ところで、経済協力開発機構が行なった2009年の調査によると、世界の先進国のうち日本人の平均睡眠時間は、実に下から2番目。最も平均睡眠時間が長いフランスに比べると、日本人の平均睡眠時間は1時間も短いことが分かりました。
平日での睡眠時間が少ない分、休日に余分に睡眠を取る日本人も多いようです。休日に多少余分に眠ることは問題ないと思われますが、平日には毎朝7時に起床しているような習慣の人が、休日に9時や10時に起床しているとなると、何らかの健康被害が生じる恐れがあるので注意してください。心筋梗塞のリスクを回避するためには「休日の寝だめはNG」と心得ておきましょう。

こたつで寝るのが危険

心筋梗塞のリスクも秘めている

寒い季節になると、肩までこたつの中に入って、ついそのままウトウトしてしまう、という人も少なくないでしょう。しかしながら、こたつの中で寝ることには非常に危険。特に、もとから心臓に持病のある方は、こたつの中で心筋梗塞にいたる恐れがあるので絶対にやめましょう。
私たち人間の体は、寒い真冬であっても、皮膚や呼気を通じて一晩でコップ1杯程度の水分が失われるようになっています。このシステムを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と言います。
こたつの中の温度は最低でも40°、高い場合には60°です。この温度の中に体を長時間入れていると、不感蒸泄によって失われる水分は激増。やがて体内の水分が減少して脱水症状となり、血液の粘度が上がって血栓ができやすい状態となります。結果、もともと動脈硬化を持っている人や高血圧の人は、血栓が血管に詰まるなどし、心筋梗塞へと至る可能性があるのです。
こたつの理屈から延長させれば、長時間、電気毛布を利用して眠ることもハイリスクであることが理解できるでしょう。ホットカーペットの上でウトウトすることも、もちろん危険です。
もとより心筋梗塞のリスクが高い冬。こたつで寝ることは、その季節的リスクをさらに上げることになるので、絶対にやめましょう。