心筋梗塞の予防をするうえで知っておきたい血管攣縮について

心臓に血液を送り込む冠動脈が何らかの原因で機能しなくなり、心臓への酸素供給が阻害される狭心症。この狭心症から心筋梗塞へ発展することがあります。その理由に冠動脈の機能障害のひとつ、血管攣縮と呼ばれる現象があるのです。

こちらでは心筋梗塞の遠因になりうる血管攣縮について、詳しい機序や予防法について説明していきます。

血管攣縮とは

血管攣縮の特徴

血管攣縮とは、主に冠動脈が痙攣して極端に収縮する現象を指します。この現象により血液の循環が阻害され、心臓に血液が流れなくなってしまうのです。血管攣縮が起こる原因にはさまざまなものがあり、薬やホルモンなどの作用、また生活習慣による刺激などがあげられます。

血管攣縮によって冠動脈が狭められると、心臓に酸素が供給されなくなることが想像できるしょう。これが狭心症を引き起こす原因になります。

心筋梗塞や狭心症を発症した方にとって再発の心配はつきもの。なかには、発作の再発を恐れて運動を避けてしまう方もいますが、適度な運動は予防につながります。安全に配慮した運動を取り入れていきましょう。

自覚症状

血管攣縮が起こったときは、はっきりした自覚症状が見られます。その主なものを紹介します。

  • 胸などの痛み
    血管攣縮による痛みの特徴は、胸骨の下あたり一帯が締め付けられる、また詰まるような感覚です。その痛みはときに、上腹部や首、肩などに至ることもあります。
  • 症状が出るタイミング
    何らかの動作をしているときではなく、就寝中など安静にしているときに発生するのも特徴のひとつです。発作がいったん起きてからは、痛みが数分~15分ほど続きます。痛みのほかにも、左上腕付近にしびれが出ることもあるようです。
  • 場合によっては意識を失うことも
    血管攣縮によって狭心症が引き起こされた場合(冠攣縮性狭心症)、その発作が長く続くこともあり、場合によっては意識を失うケースもあります。

血管攣縮と心筋梗塞の関係

血管攣縮が心筋梗塞を引き起こすことも

血管攣縮は狭心症の直接的な原因となり、一時的な発作の後に治まることも多いです。一方で心筋梗塞は、動脈硬化による血栓など器質的な要因で冠動脈が狭くなり、発作は長引きます。

つまり狭心症と心筋梗塞は心臓への血液供給が阻害される虚血性心疾患であることは同じですが、二つの機序は違うとわかるでしょう。こうした理由から、血管攣縮によって直ちに心筋梗塞が起こるわけではありません。

ただし血管攣縮の状態が長期間不安定に続く、器質的な要因の血管狭窄と血管攣縮を併発したといった場合などは、急性心筋梗塞に至ることがあります。また冠攣縮性狭心症は心筋梗塞の前兆であるケースもあるため、狭心症の発作が起きていったん収まったとしても、病院で診察を受けることをおすすめします。

血管攣縮の対策

生活習慣の改善

血管攣縮が起こる原因には、さまざまな生活習慣が関係します。たとえば、下記のような生活習慣が血管攣縮の対策になります。

  • 禁煙
    喫煙は冠動脈の一部、または全体に血管攣縮を起こしやすくすることがわかっています。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が、血流の停滞や酸素供給の阻害を引き起こすためです。結果、狭心症や心筋梗塞のリスクを高めてしまいます。
    そのため、狭心症や心筋梗塞の予防のためには禁煙が有効です。禁煙のためには自分自身の強い意志や工夫も必要ですが、タバコを吸わないことで強いストレスを感じるのであれば体に良くありません。その場合、禁煙外来などに頼るのもひとつの方法でしょう。
  • ストレス解消
    日常的にさらされているさまざまなストレスも、血管攣縮を引き起こす原因のひとつです。ストレスを受けることによって、心拍数や血圧が上昇して心臓に負担をかけます。また副腎皮質ホルモンが多く分泌されることで血中コレステロールが増加し、動脈硬化のリスクも高まるのです。
    こうしたストレスは生活するうえで避けることはできませんが、うまくストレスを解消できれば狭心症や心筋梗塞の予防につながります。自分なりの解消法を見つけて、ストレスと上手に付き合っていきましょう。
  • 節酒
    お酒は適量を飲むぶんには血流がよくなり、血中の善玉コレステロールの増加作用もあることから、健康に有効だと言えます。しかし多量に飲みすぎることで血圧を高めてしまい、心臓に負担をかけて血管攣縮を引き起こす可能性もあるのです。また飲みすぎは動脈硬化にもつながり、心筋梗塞のリスクを高めます。
    狭心症や心筋梗塞の予防のためには、節酒をして毎日のお酒の量を適量に抑えましょう。またこれらの疾患の既往歴がある人で降圧剤を飲んでいる場合、飲酒は医師とよく相談してください。
  • このように、普段の生活に密着した習慣が血管攣縮を引き起こす原因になりかねません。しかしこれらの生活習慣は改めることで、狭心症や心筋梗塞のリスクを減らすこともできます。生活習慣の改善は今日からでもできることですから、自分の健康を守るためにも一度自分の行動を見直してみましょう。

薬物療法

実際に冠攣縮性狭心症を発症した場合、治療や予防のためには薬物療法が用いられます。主な薬の種類は、以下のようなものです。

  • 硝酸薬
  • カルシウム拮抗薬
  • ニコランジル
  • β遮断薬

これらの薬はいずれも血管を弛緩させることにより、血管攣縮で収縮した血管を拡張させる作用を持つもの。患者さんの症状や状態に合わせて使い分けられるほか、ときには併用されることもあります。使用の際は、服用方法や副作用にも注意しましょう。

 

心筋梗塞・狭心症を予防
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