貝には様々な栄養成分が含まれていますが、中でもタウリンと亜鉛の含有量が突出しています。タウリンにはコレステロールを下げる働きや心臓を動かす働きがあり、循環器系の疾患予防には高い効果が認められています。また、亜鉛は万病予防のミネラルとも言われますが、普段の食生活では不足しがちになる成分でもあります。貝を日常的に食べることで、動脈硬化や心臓病、脳卒中だけでなく、様々な疾患の予防効果が期待できるでしょう。

貝類が健康に良いとされる理由

縄文時代から日本人の
健康を守ってきた日常食「貝」

貝が食用となった歴史は古く、日本では遅くとも縄文時代には日常食として定着していたと言われています。縄文遺跡からは「牡蠣の養殖」をしていたことを思わせる出土品も発見されており、考古学者の間では非常に注目されています。

また、養殖か否かに関わらず、食べた貝の殻を廃棄する「貝塚」が世界中で見つかっています。日本でも北海道から沖縄まで、各都道府県に数十か所~数百か所もの「貝塚」が発見されています。これだけ多くの「貝塚」が見つかっていることからも、人はそのうま味だけでなく、健康効果も自覚して摂取していたのではないかと推察されます。

英雄「牡蠣」を好む?貝には
元気のもととなる成分が豊富!

「英雄色を好む」という中国のことわざは有名ですが、ヨーロッパには「英雄牡蠣を好む」という慣用表現があります。牡蠣に含まれる様々な栄養成分が男性を元気にする、といった意味のようです。牡蠣に限らず、確かに、貝には人に活力を与える成分が豊富に含まれています。貝にはタウリンや亜鉛が豊富なことは有名ですが、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCなどの各種ビタミン類から、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラル類まで、実に豊富な栄養成分が凝縮されています。「英雄牡蠣を好む」とは、味や健康効果も含めた貝の魅力を一言で表現した、まさに名言と言えるでしょう。

 

貝類に含まれる注目の成分

タウリンが様々なアプローチ
から心臓を守る

貝類にはタウリンが豊富に含まれていますが、このタウリンは健康な心機能維持のために欠かせない成分。まず、心臓を動かすポンプの原料となります。心臓の中には、もともとタウリンが豊富に存在していますが、これらはポンプ機能の原料となるために徐々に消費されていきます。原料がなくなればポンプは止まるため、タウリンは人間の生命維持にとってとても大切な要素なのです。加えて、タウリンにはコレステロール値を下げる働きもあるため、冠動脈心臓病を予防する効果があるとの研究報告もあります。その他にも、タウリンの心臓病予防効果を示唆する研究成果が多く発表されています。

貝類が人類を救う?豊富に
含まれる亜鉛のパワー

貝類には豊富な亜鉛が含まれています。亜鉛は、様々な病気予防効果を持つことで知られるミネラル成分です。ノーベル賞を2度受賞した化学者、ライナス・ポーリング博士(アメリカ)は、「すべての病気の原因を探ると、最後に行きつくところはミネラル不足だ」との言葉を残しました。また、ポーリング博士の出身校でもあるオレゴン州立大学からは、2015年に「高齢者の亜鉛不足が多くの慢性疾患を悪化させる原因となっている」との趣旨の論文が発表されました。人は適切な食生活を送っていても亜鉛が不足がちになることがあると言われます。貝類を積極的に摂取することが、心臓病を始めとした万病の予防策になる可能性があります。

 

貝類のおすすめの食べ方

貝は世界中で好んで使われている食材。日本料理だけでなく、フランス料理やイタリア料理、中華料理などでも、多くのメニューに登場する万能な食材です。それゆえに貝料理のレシピを調べてみると、その種類は実に豊富。「今日買った貝で何を作ろうかな」と悩むことは、ほとんどないでしょう。できれば日常的に貝を摂りたいところなので、「調理の手軽さ」を第一の基準にしてメニューを検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめのレシピ

うま味と風味をしっかりと吸い込んだあさり飯

殻つきのあさり、だし汁、割り下で米を炊き込んだあさり飯。炊き立ては、釜から立ちのぼるあさり特有の風味が食欲を誘います。あさりにはタウリンとビタミンB12が豊富。タウリンは血液サラサラ効果が高く、動脈硬化や心臓病、脳卒中などの予防効果が期待できます。肝機能を正常化する働きがあることでも知られますね。ビタミンB12は赤血球の造成を促す働きがあることから、貧血予防などの効果が期待できます。

応用範囲の広い牡蠣のオリーブオイル漬け

まずは牡蠣をフライパンで酒の炒り煮に。牡蠣の水分が飛んだら、スライスにんにくと塩を適量入れたリーブオイルに入れます。そのまま1日漬けこんだら完成。パスタに和えるもよし、サラダに添えるもよし、バケットに乗せるもよし。万能な美味しさを持つ牡蠣なので、応用範囲がとても広いのが特徴です。牡蠣は貝類の中でも特にタウリンの含有量が豊富。循環器系の疾患予防や、肝機能の健康維持に優れた食材です。

前菜に最適なホタテのカルパッチョ

ベビーリーフを皿の中央に盛り、その上にスライスした紫玉ねぎを重ねます。半分の厚みに切った刺身用ホタテをその周囲に並べ、全体にお好みのドレッシングをかけて完成。粗挽きコショウをまぶせば、スパイシーなアクセントがつきます。ホタテに豊富に含まれるタウリンの力もさることながら、紫玉ねぎに含まれるアリシンにも注目。血糖値を下げる働きがあることから、血栓予防効果、心臓病予防効果、脳卒中予防効果などが期待できます。

 

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貝類を食べる際の注意ポイント

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01

貝類に豊富な栄養素が含まれていることは確かですが、調理の過程で大事な栄養素が煮汁の中にたくさん流れ出してしまいます。したがって、できれば、しじみの味噌汁やあさり飯などのように、煮汁ごと食すメニューをおすすめします。あるいは、酒蒸しなどのように、煮汁が脇役になってしまうメニューでも、煮汁を捨てずに飲んでしまうようにしましょう。なお、煮汁ごと食すメニューを作る場合には、水の状態から少しずつ加熱していくと、うま味が知るに流れ出すのでお勧めです。

 

Point

02

貝には、まれに貝毒を含んでいる個体があるので注意が必要です。毒を含んだプランクトンを貝がエサにすると、貝の体内に毒が蓄積します。この貝をエサにした別の貝にもまた、毒が移動して蓄積します。人が万が一貝毒を含んだ貝を食べてしまうと、腹痛、下痢、しびれなどの様々な症状を引き起こしてしまいます。フグの毒と同じテトロドトキシンを含む貝もあります。貝毒性の中毒に対する治療法は確立されておらず、病院では胃洗浄や人工呼吸を施すのみです。市販の貝は安全性が確認されていますが、潮干狩りをする場合には、自治体や漁港などの貝毒情報を事前に確認しておきましょう。

 

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