心筋梗塞や狭心症の主な原因の一つは高血圧。昔からカリウムには血圧を安定させる働きがあることが知られており、心臓に不安のある方は、適切な量のカリウム摂取が望ましいとされています。ただ、カリウムとセットで意識したいのが、ナトリウムの摂取量。一般的な食事を摂っている限り、カリウム不足になる心配はそれほどありません。しかし、ナトリウムを過剰に摂取するとカリウムの働きが追い付かなくなり、血圧上昇を招いてしまいます。「なるべくナトリウムを控えめに、なるべくカリウムを多めに」という食生活をここ掛けましょう。

カリウムとナトリウムの関係

体内におけるカリウムとナトリウムの比率は、常に一定である必要があります。カリウム過多になってもナトリウム過多になっても、体には良くありません。健康な体を維持するためには、常に両者の比率がバランスよく保たれていることが理想なのです。

両者のバランスが崩れる主な要因は、ナトリウム過多です。塩辛いものや味の濃いものを摂り過ぎると、ナトリウム過多に陥る可能性があります。体内でカリウムとナトリウムのバランスが崩れてしまうと、様々な異常を誘発する恐れがあります。味の濃い食べ物が好きな方は、十分に注意しましょう。

カリウムには過剰なナトリウムを排出する働きがある

ナトリウムの過剰摂取は、胃がんや高血圧、脳卒中などの様々な病気を誘発する要因ですが、体がナトリウム過多になることはそうそうありません。なぜなら、過剰に摂取されたナトリウムは、カリウムの働きによって体外へと排出されているからです。

しかし、ナトリウム過多の状態が長期的に続いた場合は話が別。カリウムの働きが追い付かなくなり、結果として、健康に様々な悪影響を及ぼすことになります。その代表が高血圧。高血圧は、心筋梗塞や狭心症を招く主な要因のひとつです。

カリウムが心筋梗塞・狭心症を予防するメカニズム

ナトリウムの過剰摂取が続いてカリウムの働きが追い付かなくなると、血圧が上昇して心筋梗塞や狭心症を招きやすくなります。高血圧と心筋梗塞・狭心症の関係についてチェックしてみましょう。

高血圧は心筋梗塞・狭心症を招く主な要因

高血圧が生じているだけの状態であれば、心筋梗塞や狭心症の発作は、喫緊の問題とはなりません。問題となるのは、動脈硬化と高血圧が併発している場合です。

動脈硬化は、よく古いホースに例えられます。古くなったホースに勢いよく水を通すと、ホースに亀裂が入り、そこから水が噴出してしまうことがあります。動脈硬化と高血圧の関係も、この現象と同じ。強い水圧(=血圧)が加われば古いホース(動脈効果を起こした血管)が損傷し、血栓が剥がれるなどして心筋梗塞・狭心症へと至るリスクが高まってしまうのです。

「カリウム多め・ナトリウム少なめ」で血圧を安定させよう

動脈硬化と高血圧の併発が心筋梗塞や狭心症を誘発する、と説明しました。これはすなわち、動脈硬化を改善させれば、もしくは高血圧を改善させれば、心筋梗塞などの発症リスクを抑えることができる、ということでもあります(もちろん、両方を改善させることが理想です)。

動脈硬化は、一朝一夕の対策では改善できません。薬剤の服用や生活習慣の改善を通じ、長期的に改善を図るしかないのです。一方で、高血圧はカリウムを多めに摂取し、かつナトリウムを少なめに抑えるだけで、ある程度の改善が期待できます。

動脈硬化を生じた血管の内壁に刺激を与えないよう、まずは「カリウム多め・ナトリウム少なめ」で血圧の安定を図っていきましょう。

カリウムを多く含む食べ物・ナトリウムを多く含む食べ物

心筋梗塞や狭心症の予防のためには、「カリウム多め・ナトリウム少なめ」にして高血圧を防ぐことが大切。ただし、冒頭でもお伝えした通り、一般的な食事を摂っている限り、カリウムの摂取量が不足することはそうそうありません。インスタント食品ばかりの食生活など、偏った習慣を避けるように心掛けてください。

その一方、腎臓に障害のある方や、サプリメントなどでカリウムを摂取している方は、カリウムの過剰摂取による「高カリウム血症」に陥る恐れがあるので注意してください。「高カリウム血症」に陥ると、筋収縮の調整が不良となり、心疾患から死に至る場合もあります。特に、腎機能が万全ではい方は、医師から指導されたカリウムの摂取制限をしっかりと守りましょう。

以下、カリウムを多く含む食べ物、およびナトリウムを多く含む食べ物のうち、私たちが日常的に食べる機会が多いものについてご紹介します。

カリウムを多く含む食べ物

カリウムが多く含まれている食べ物としては、バナナやスイカが有名。しかし、ほかにも私たちが普段口にする食材には、カリウムを多く含んだものがたくさんあります。ここで紹介している情報をチェックして、普段の食事に役立ててください。

  • わかめ
  • こんぶ
  • ひじき
  • 海苔
  • パセリ
  • かんぴょう
  • 小豆
  • ソラマメ
  • 大豆
  • 切り干し大根
  • 唐辛子
  • マイタケ
  • シイタケ
  • バナナ
  • スイカ
  • 煮干し、など

この中でも、特に海藻類には豊富なカリウムが含まれているので、日ごろから意識的に食べるようにしましょう。沖縄県の平均寿命が長い理由は、海藻をよく食べるからという説もあるほどです。

上記以外にも、黒砂糖やインスタントコーヒー、抹茶にもカリウムが多く含まれています。ぜひ参考にしてみてください。

ナトリウムを多く含む食べ物

ナトリウムを多く含む食べ物の筆頭は塩です。しかし、塩そのものを毎日たくさん食べている人はいないはず。注意すべきは、塩分を多く含む食べ物、ということになります。

以下、私たちが普段よく食べている食べ物の中で、特に塩分が多いものを列挙してみます。

  • カップラーメン
  • そうめん
  • いわしの丸干し
  • めざし
  • 各種佃煮
  • いかの塩辛
  • たらこ・明太子
  • すじこ
  • かまぼこ
  • サラミ
  • ハム
  • チーズ、など

カップラーメンはもちろん、お店で食べるラーメンにもナトリウムが非常に多く含まれているため、汁をぜんぶ飲み干すのはお勧めできません。コンビニ弁当などにも多量の塩分が使用されているので、頻繁に利用することは避けたほうが良いでしょう。

カリウム不足よりも怖い?心臓の血管攣縮による心筋梗塞

カリウム不足、およびナトリウム過多が高血圧を招き、結果として心筋梗塞や狭心症を招く恐れがあることは理解できたと思います。

ただし、心筋梗塞・狭心症の中には、高血圧や動脈硬化とは「別の原因」を有するものがあることも覚えておいてください。ある意味では、この「別の原因」によって生じる心筋梗塞・狭心症のほうが怖いと言えるかもしれません。

その「別の原因」とは、心臓の「血管攣縮」というものです。

心臓の血管攣縮とは

何らかの要因により心臓の冠動脈が痙攣を起こし、収縮してしまう現象を「冠攣縮(心臓の血管攣縮)」と言います。冠攣縮の影響で冠動脈の血流が悪化した状態が狭心症であり、冠攣縮の影響で冠動脈の血流が遮断された状態が心筋梗塞です。

冠攣縮による心筋梗塞・狭心症を生じた患者の多くには、高血圧や動脈硬化の併発が見られます。しかし、発作の直接的な原因は冠攣縮であり、これは眠りに就いている深夜や、起床間際の早朝など、安静にしている時に突如として生じる恐ろしい症状なのです。

動脈硬化等を原因とする一般的な心筋梗塞とは別で、冠攣縮を原因とする心筋梗塞についても、十分な知識と対処法を考えておくべきでしょう。

 

心筋梗塞・狭心症を予防
するためには?