魚類

 

動脈硬化は、食生活と密接な関係があり、食事で改善ができます。特にEPAが豊富な青魚には、動脈硬化を防ぐ働きがあるといわれています。EPAはエイコサペンタエン酸の略です。エイコサペンタエン酸から作られるプロスタグランジンには、血液濃度を下げる働きがあります。また血小板の凝固を抑えて、血栓予防にも効果があります。

魚類が健康に良いとされる理由

魚肉を主食とするイヌイット族には心臓病が少ない!

戦後、食の欧米化が進み、この40年間で動物性たんぱく質の摂取量が2~3倍に増えています。同時に、動脈硬化による心臓病も増えるようになりました。青魚の健康効果が注目されるようになったのは、1960年ごろのイヌイット族の健康調査がきっかけです。北極圏のイヌイット族は、野菜や果物をほとんど摂取しませんが、心臓病患者が少ない民族。デンマークの研究者達は、アザラシやクジラを中心とする食生活に注目し、本格的な調査を始めるようになりました。

北極圏の冷たい海水の中に生息するアザラシはEPAが豊富

イヌイット族の血液を分析し、血中にEPA量が多いことが判明。これはマグロやイワシ、アジ、サバ等の青魚類に豊富に含まれている、低温でも固まらない脂肪酸です。北極圏に生息するアザラシやクジラが、冷たい水の中でも生きていけるのは、EPAが豊富に含まれているから。この成分は、血液をサラサラにして、動脈硬化の予防効果があります。それを主食としているので、イヌイット族には心臓病疾患が少ないと考えられています。

 

魚類に含まれる注目の成分

EPAが血管をしなやかにして血栓を作りにくくする

EPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3脂肪酸とよばれる必須脂肪酸の一つです。サバやサンマ、マグロに多く含まれる成分ですが、体内で作ることはできません。EPAは、血液中のコレステロールや中性脂肪を抑える働きがあり、血液をサラサラにしてくれます。また赤血球の細胞膜を柔らかくして血液の流れをスムーズにし、血小板の凝固を防ぐ働きも。動脈硬化はもちろん、心筋梗塞や狭心症などの心臓病の予防効果が期待できます。

EPAとのW摂取で血液を
サラサラにして心臓病予防

DHAはドコサヘキサエン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸の一種です。EPAと同様、血管壁の細胞膜を柔軟にして血流を改善し、血圧の上昇を防ぐ働きがあります。赤血球の細胞膜を柔らかくして血流を促して、血液をサラサラにする効果もあります。中性脂肪を減らして、善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を防ぎます。オメガ3脂肪酸の仲間「EPA」と同時に摂取すると、より効果が高まるので、心臓病予防にもつながるといわれています。

タウリンが血圧を安定させる

血圧が上昇したときに下げる作用があるとされているタウリン。魚類のなかでもとくにカツオやマグロなどの血合い肉、イカやタコ、アワビなどの貝類にも多く含まれています。血圧を安定して保とうと作用するため、高血圧の方にも良いとされている成分です。高血圧の状態が続くと血管に負担がかかり、心筋梗塞などの心疾患にかかるリスクにつながるおそれも。魚類を積極的に摂りタウリンを補うと、血圧の上昇を抑えて血管やその他の臓器への負担を減らせます。

カルシウムが血圧の上昇を防ぐ

魚にはカルシウムが多く含まれていることで知られていますが、カルシウムは血管の健康を守り、病気を防いでくれる物質です。体内からカルシウムが不足すると、血液中にはカルシウムが増えてしまうという現象が起きます。血液中のカルシウム濃度が高くなると血管の壁に取り込まれ、血管を収縮させてしまうのです。そうなると血液の流れが悪くなり、血圧が高くなってしまいます。心筋梗塞などの疾患にならないようにするためには、カルシウムを補うことも有効です。

 

魚油には食べ過ぎを抑える効果も

DHAやEPAが脳の視床下部に

最近では、魚の油に含まれるDHAやEPAが脳の視床下部に働き、食べ過ぎを抑える作用もあることが分かっています。2016年に発表されたラットを用いた実験結果によると、飽和脂肪酸であるラードを含む食品を与えたラットとDHAやEPAが含まれた不飽和脂肪酸の魚油を含んだ食品を食べたラットでは、脳の視床下部レベルで働きに違いが出ました。魚油を与えたラットのほうだけ体重や血清脂質、インスリン抵抗性の数値が下がり、抗レプチン耐性が起こることが分かったのです。

魚油による抗レプチン耐性とは

レプチンとは、脂肪細胞から分泌される物質の一種。肥満によって脂肪が増えると、食欲を減退させ、肥満の影響を受けないように視床下部へ働く物質です。しかし、一定以上肥満になってしまうとレプチンの効果が減退。これをレプチン耐性といい、いくら食べても満腹感を得られなくなってしまいます。レプチンが増加しすぎると、今度は高血圧などの生活習慣病を引き起こす原因に。レプチンが体内でうまく働くよう、抗レプチン耐性をつけることが、生活習慣病予防において大切です。

レプチンと脳内の関係性

魚の油を摂るとレプチンが視床下部でうまく働くよう作用することから、DHAやEPAといった不飽和脂肪酸は、脳内にも影響を与えることが分かりました。食欲を減退させ、エネルギーの消費量を増大させて肥満を防ごうと脳に働くレプチン。レプチンを活性化させるためにも、DHAやEPAを多く含む青魚は積極的に食べましょう。肥満は血管系の疾患にとって大敵。魚油を積極的に摂ってレプチンがうまく働く体をつくれば、心筋梗塞など血管の病気を未然に防ぐことにつながります。

 

魚類のおすすめの食べ方

イラスト魚類は動脈硬化の予防効果がありますが、心臓病を予防するには、食べ方や種類が重要です。アメリカの研究では、週1回以上、魚フライを食べる人の動脈硬化率は48%と高く、青魚を週1日程度食べる人は、平均よりも20%低いことが判明しました。青魚のEPAは酸化しやすく、温度が10℃下がると酸化速度が2倍になるといわれています。なるべく鮮度のいいものを選ぶと、動脈硬化の予防効果が高まります。

おすすめのレシピ

焼き魚+大根おろしで悪玉コレステロールを減らす

血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが高いと、動脈硬化を促進して心筋梗塞や狭心症を発症します。青魚に含まれるEPAは、中性脂肪を抑えて善玉コレステロールを増やす働きがあります。サバやサンマの焼き魚は、大根おろしを添えて食べると悪玉コレステロールが減り、より高い動脈硬化予防が期待できます。

DHAとビタミンEが豊富な「寒ブリ」の煮つけ

ブリは青魚の中でもEPAや良質なたんぱく質や鉄分、ビタミンA・B・D・E等のミネラルの宝庫。中でも寒ブリは、脂肪の含有量が多く、腹部には通常の40%も多く含まれています。高血圧や動脈硬化を防ぐEPAやカリウム、DHA等が豊富。抗酸化作用のあるビタミンEが含まれていて、効率よく摂取できます。

いわしのハンバーグで善玉コレステロールを増やす

ひき肉を使ったハンバーグは、動物性たんぱく質と脂肪が多く、動脈硬化を促進します。ひき肉の変わりに「いわし」等の青魚を使うと、善玉コレステロールを増やして、心筋梗塞や狭心症の予防につながります。いわしは栄養価が高く、栄養素をまんべんなく摂取できます。豆腐を加えるとよりヘルシーで効果的です。

 

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魚類を食べる際の注意ポイント

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01

青魚は、水揚げ後、18時間以上経過すると急激に酸化して、身体に悪い影響を与えます。またEPAは低温に強いので、冷凍保存しておくことで酸化が遅れます。購入する時は、なるべく新鮮な物を選ぶことがオススメ。購入後は、すぐに調理するか、それが難しければ、冷凍保存しておくといいでしょう。ただし冷凍したからといって安心するのは禁物です。やはり時間が経つと酸化するので、なるべく早めに調理するようにしてください。

 

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02

含まれているたんぱく質が、アレルギーを引きおこす場合があります。症状としては、じんましんや顔の赤み、まぶたの腫れ、目の充血、湿疹、咳などです。またサバ等に多く含まれているヒスタミンが体内に入ると、アレルギーによく似た症状が現れることがあります。アレルギー様食中毒といい、発疹、吐き気、紅潮等の症状です。ヒスタミンは加熱しても分解されない細菌なので、衛生管理の行き届いている青魚を購入するようにしましょう。

 

参考サイト・参考文献

 

心筋梗塞・狭心症を予防
するためには?