一般療法

心筋梗塞・狭心症は、初期治療によって予後が変わります。予後を良好にするには、症状が治まった後の生活が非常に重要です。病院では、退院前にカウンセラーが患者と家族を交えて指導を行い、病気と療養についてレクチャー。同時に再発を防ぐ具体的なプログラムを作成して、それに基づいた指導を行います。

【心筋梗塞・狭心症】再発予防の実践と注意点 >>

予後を良好にする
再発予防の患者教育プログラム

心筋梗塞・狭心症は、一生付き合っていく病気です。発作後、症状が治まった後は、一般療法を行います。一般療法の目的は、再発予防です。①食餌療法、②運動療法、③禁煙指導、④飲酒管理、⑤陽圧呼吸療法、⑥うつ・不眠症・不安症への対策、⑦患者教育の7項目があります。カウンセラーが患者の食生活や生活習慣、精神面などを、正しく評価したうえで、再発を予防するための個々のプログラムを作成し、徹底させるための指導を行います。

生活習慣から身体・精神まで
トータルカウンセリング

再発を防ぐうえで、重要なことは、生活習慣病の改善です。食餌療法・運動指導・禁煙指導・飲酒管理で、コレステロールや中性脂肪をコントロール。肥満や太りすぎを防いで動脈硬化になりにくい身体を作り、心臓への負担を軽減します。心筋梗塞や狭心症の発症後は、睡眠時無呼吸症候群になりやすく、必要に応じて個別の「陽圧呼吸療法」を行います。うつ症状があると予後を悪くするので、カウンセラーによる、うつ・不眠症・不安症対策もしっかり行います。

 

食事療法

食事を通して生活習慣病の危険因子をコントロールする

食餌療法の目的は、心臓病を誘発する生活習慣病のコントロールで、食事を通して、「血圧・脂質・体重・糖尿病」の4つを管理します。血圧管理では、BMI(肥満度数) を18.5~24.9の範囲に抑えて、高血圧を予防します。脂質管理では、脂肪・飽和脂肪酸・コレステロールを抑え、オメガ3脂肪酸等を多く摂取します。

DHA・EPAの多めの摂取とエネルギー消費で予防する

肥満になると、高血圧や脂質異常症になって動脈硬化を促進し、心臓病等を誘発します。カロリー摂取量とエネルギー消費量のバランスが悪くなると、肥満になるので、高カロリーの食事を控え、オメガ3脂肪酸を多く摂取して、運動でエネルギーを消費します。糖尿病があると心筋梗塞や狭心症に移行しやすいので、食事や運動を通して、ヘモグロビンA1c値を7.0%未満になるようにエネルギー摂取量を調整して、糖尿病管理をします。

 

運動療法

1日30分の有酸素運動で心筋梗塞の再発を予防する

虚血心疾患の再発予防には、運動療法を中心とするリハビリテーションが有効で、運動することで動脈硬化の危険因子を減らすことができると言われています。基本的な運動は、ウォーキング・軽いジョギング・サイクリング等の有酸素運動です。1日最低30分以上、毎日それが無理な場合は週3~4回行います。ただし、過度に激しい運動はかえって心臓に負担を与えかねません。医師が症状や体に合わせて運動内容を処方しますので、必ずその指示に従ってください。

→心筋梗塞後の運動するときの注意点をチェック

心臓の機能を高める「心臓リハビリテーション」に注目!

「心臓リハビリテーション」に注目が集まっています。心臓手術後や心筋梗塞や狭心症の発作を起こした後は、心臓の働きが弱っているため健全な社会復帰が難しい状態です。低下した機能の回復と、社会復帰、再発予防を目的としたプログラムが「心臓リハビリテーション」です。リハビリを行うことで、血管が自然に広がって、血栓ができにくくなり、心筋梗塞の再発を防げます。運動機能も高まって、日常生活が楽になります。

 

禁煙・禁酒指導

喫煙で血管が錆つく!動脈硬化から心筋梗塞・狭心症リスクを高める

たばこに含まれているニコチンには、血管を錆びつかせて傷つける働きがあります。タバコを吸うとニコチンが交感神経を刺激して血圧が高くなり、心拍数も早くなります。ある調査によると、1本の喫煙で血圧が110~130上昇し、心拍数も60回~80回に増えたそうです。たばこを吸うと一酸化炭素が増えて、血液中の酸素が不足します。またタバコの成分、酸化物質が動脈硬化を促進して、心筋梗塞・狭心症リスクを高めます。

女性のアルコール大量摂取で心筋梗塞のリスクが4倍に!

アルコールには、血圧を下げたり、心臓の働きを強めたり、HDL(善玉)コレステロールを増加させたり、血行を促す作用などがあります。問題なのは、長年の飲酒や大量摂取。血圧を上昇させて、高血圧症のリスクが高まるので、過度な飲酒は控えましょう。アルコール摂取の目安は、日本酒で1合程度、ビール中瓶1本、焼酎コップ半分、ワイングラス2杯、ウィスキーダブル1杯程度。特に女性が2合以上飲酒すると、心筋梗塞・狭心症リスクが4倍以上になるという報告もあります。

 

陽圧呼吸療法

合併症の睡眠時無呼吸症候群を治して心臓の負担を軽くする

心筋梗塞を発症後、睡眠時無呼吸症候群を合併することがあります。心臓病・高血圧・糖尿病リスクを高めるため、治療が必要。陽圧呼吸療法で就寝中に狭くなっている軌道を広げます。夜間に鼻マスクをつけて、装置からエアーを送り気道内に圧力をかけて閉塞を防いで無呼吸をなくします。在宅または病院で治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群で心筋梗塞発症リスクが6倍に!

睡眠時無呼吸症候群とは、一晩で無呼吸の状態が30回以上、または1時間に5回以上、10秒以上無呼吸が続く病気で、就寝中に気道が圧迫されて狭くなり、呼吸が一時的に呈した状態です。無呼吸が続くと、不整脈が発生する頻度が4倍になり、心筋梗塞などの発症リスクも1.2~6.9倍になります。また酸素不足に陥って、交感神経が活性化し、血圧の変動などが起こります。心筋梗塞などの予後を悪化させるリスクが高くなるので、無呼吸指数が20以上の場合、陽圧呼吸療法が必要です。

 

うつ・不眠症・不安症対策

うつ・不安・不眠が強いと発作後の予後が悪くなる!

心筋梗塞・狭心症を発症した患者は、抑うつや不安感が強くなったり、不眠に陥りやすくなり、予後にも悪い影響を与えることが知られています。うつ症状があると、ライフスタイルが乱れがちになり、薬の服用や運動、禁煙・禁酒などが守れなくなり、再発リスクが高まります。退院前に、患者の精神面の評価をきちんと行い、うつ症状を改善するカウセリングを行います。心理療法や認知行動療法を取り入れることで、うつ状態が改善し、予後もよくなったケースが報告されています。

うつ症状から交感神経の働きが活発になり不整脈に

うつ症状があると不整脈になりやすく、心拍数が低下します。心臓の脈拍は、一定のリズムがありますが、ストレスを受けると交感神経が活発になり、副腎皮質から、アドレナリンとノルアドレナリンを大量に分泌して脈拍が乱れます。また、血小板の働きも活発になって血栓ができやすくなり、血液もドロドロになるので、心筋梗塞や狭心症の予後も悪くなります。リラックスした状態になると、副交感神経が優位になるので、心拍数が安定してきて、不整脈も防げます。

 

患者教育

患者教育で家族とともに予防意識を高める

心筋梗塞・狭心症を再発させないためには、患者自身で生活習慣や食生活などをコントロールする、患者教育が必要です。退院するまでに、病院で生活習慣の見直しや薬の飲み方など、予防の基礎知識について指導します。患者とその家族に対して、心筋梗塞・狭心症の急性症状や、万が一発作が起きた時の対処方法についての教育も実施。家族を交えることで、双方のモチベーションが高まり、再発予防につながります。

「DES」で心筋梗塞・狭心症の再発を防ぐ

カテーテル治療を行っている医師の合言葉は「DES」。D=ダイエット・E=エクササイズ(運動)・S=No Smoking (禁煙)の3つの言葉をつなげたもの。この3つを実行することで、心筋梗塞・狭心症の再発が予防できます。患者教育では「DES」の大切さについても指導します。肥満気味の人はややきついと思われる程度の運動で、標準体重に近づける努力が必要です。喫煙している人は禁煙治療薬を使ったり、禁煙外来で禁煙治療を受けてタバコをやめましょう。

 

心筋梗塞・狭心症を予防
するためには?