心不全

心筋梗塞や狭心症が重篤化すると心不全を合併する

心不全とは、心臓の機能が低下して、全身に血液が十分に運ばれなくなる状態のことをいいます。心筋梗塞や狭心症が重篤化すると、心機能が低下して心不全を合併します。悪化すると多臓器不全になって死に至るケースがほとんどです。急性と慢性では治療方法が異なり、特に急性心不全では安静が必要。早期発見・治療が何よりも重要です。

 

心不全とは

心不全は心機能が低下して
血液を送れなくなる状態

心不全とは病名ではなく、心臓の機能が十分に働かなくなり、全身に十分な血液を送れなくなった状態のことをさす「症候群」のことです。心臓にはポンプのような役割があり、収縮・拡張を繰り返しながら血液を受け取って、全身に送り出して循環させています。この機能が低下すると、全身に血液の供給ができません。血液を通して細胞や各臓器に酸素や栄養を供給しているので、心不全を発症すると体の様々な部分に障害があらわれると考えられています。

心不全はすべての心臓病の
行きつく先

心不全の原因はいろいろあります。心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症のような心臓疾患によるものや、高血圧や糖尿病、全身の動脈硬化、呼吸器疾患、薬物、アルコール中毒など、別の疾患で心臓に負担がかかり、心不全になる場合もありますが、すべての心臓病のいきつく先が、心不全だと考えられています。欧米では心不全の患者は1000人中7.2人あり、日本での発症者もそれに近づいているといわれています。その半数近くが、心筋梗塞・狭心症が原因です。

 

イラスト心不全の症状

倦怠感やむくみ、呼吸困難まで
全身に現れる症状

心不全の症状は、大きくわけると二つ。一つは「血液を送り出す機能の低下」による症状です。全身に血液が十分に行き渡らなくなり、疲れやすさや動悸といった症状が現れます。腎臓に送る血液量が減るため尿の量が少なくなり、体内に水分がたまって体重も増加します。もう一つが「受け取る機能の低下」による症状です。各臓器に水分がたまると、息苦しさや呼吸困難、むくみ、吐き気、食欲不振、体重減少などの症状が現れます。

悪化すると短期間で
急激に体重が増加する

心不全の症状の中でも、「呼吸困難の悪化」と「体重増加」は特に注意が必要です。心不全が悪化すると、せきや息苦しさなどの症状が現れます。風邪とよく似ているので、軽く見て病院に行かないと、さらに悪化します。また悪化し始めると、1~2週間で急激に体重が増えていきます。特に数日間で2㎏以上も体重が増えた場合は要注意。悪化すると大事に至る可能性がありますので、すぐに病院に行って、医師の診断を受けてください。

 

イラスト心不全の検査

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胸部レントゲン検査や
心電図検査で異常を発見

心不全の疑いがあると、まずスクリーニング検査を行って、考えられる病気を絞りこんでいきます。検査項目は多岐にわたり、胸部レントゲン検査では、心臓の形状や血管の状態を判断。心臓の状態をより詳しく知るために心電図検査を行います。基本的な検査ともいえ、不整脈の有無や心筋・心房・心室の状態をリアルに把握できます。また心臓に負担がかかると、血液中にBNPという物質が分泌されます。血液検査でBMP値を測定して、心不全のレベルを調べます。

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心臓カテーテル検査で
心臓の酸素濃度を調べる

スクリーニング検査の後、正確に診断を下すために「心臓超音波検査」や「心臓カテーテル検査」などの精密検査を行います。心臓超音波検査は、心臓に超音波を発信して、跳ね返ってきたエコーを受信して、モニターに映った映像をもとに診断する検査です。心臓の形や動きの異常を発見することができます。心臓カテーテル検査は、血管内に細い管(カテーテル)を挿入して、心臓内圧や血液の酸素濃度の測定・分析、心臓や弁の状態などを調べます。

 

イラスト心不全の治療

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重度の場合は酸素吸入
+薬物療法で症状を抑制

心不全は急激に症状が悪化する「急性心不全」と、症状が比較的おだやかな「慢性心不全」があります。急性心不全の場合は安静が必要なため、入院して酸素吸入を行い、一時的に心臓の働きを高める薬を使って症状を抑えます。慢性心不全の治療は、薬物療法が中心です。心機能を助ける薬や体内の余分な水分を取り除く薬、心臓にかかる負担を軽くする薬、神経やホルモンの作用を安定させる薬などがあり、高い効果が望めます。

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「心臓再同期療法」で
心室の収縮を補正する

薬物療法では良好な結果が得られない場合、CRT(心臓再同期療法)を行います。ペースメーカーを胸の皮下に埋め込んで、改善する最新の治療です。心臓は、電気信号が伝わって動きますが、順番が狂うと左右の心室の動きが乱れて不整脈になります。ペースメーカーで機械的に電気信号を送ると、心室の収縮のズレが補正されて、正常になります。心臓のポンプ機能が弱く、心室同期障害があり、軽度~重度の心不全に適応します。

 

イラスト心不全の予防法

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塩分・水分控えめの
食生活で心不全を予防

心不全は、早期発見して適切な治療を行い、健康管理をきちんと行えば、進行を食い止めることができます。生活習慣病も大きく影響しているので、生活習慣の見直しが欠かせません。特に食生活の改善は重要で、予防にもつながります。水分・塩分を取りすぎると、全身がむくみにつながるので気をつけましょう。良質のたんぱく質を取り、脂質の取りすぎにも気を配ってくださいね。またアルコールやコーヒーなどの刺激物も控えた方が良いでしょう。

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適度な運動で動悸と
息切れを改善して予防

運動をして心臓の機能が高まると、心不全を予防できます。極端に激しい運動は逆効果ですが、体調に合わせて適度な運動をすると、心筋や血管が強くなり、動悸・息切れなどの症状が改善できます。病院によっては、個別に運動プログラムを作って、指導することもあります。動脈硬化の原因となる、糖尿病・高血圧・肥満の予防にもなります。また体を動かすことで精神が落ち着いて、生活の質(QOL)が向上し、死亡率の大幅な改善にもつながります。

 

心筋梗塞・狭心症を予防
するためには?