漢方薬は不整脈の治療に有効!?

心臓の不調を理由に病院を訪れる患者の多くが、胸の鼓動に異常を感じる「動悸(どうき)」を訴えているとも言われています。

しかし、その中には単なる息切れなどが原因の場合も多く、「不整脈」とは無関係です。また、仮に不整脈であっても、例えば「薬の飲み忘れ」が原因の場合もあり、必ずしも新たな治療を要するとは限りません。一方、漢方医学では、患者が実際に病気かどうかに関わらず、その体質に合わせた治療が可能だとされています。

漢方薬は体質によって使い分ける!?

漢方医学には「虚実」という言葉があります。虚実とは「体質」の考え方です。年齢が比較的若く体力もある人を「実証」、反対に高齢で体力も低下している人を「虚証」と呼び、それぞれ適した治療法や漢方薬が異なります。

西洋医学の薬は、虚証の不整脈患者には使いにくい!?

動悸を訴える患者に対して、西洋医学的な診断は非常に重要です。

しかし、ある臨床データによると、動悸を理由に外来を受診した患者の内、何らかの疾患を指摘された患者は50%、さらに心房細動などで「要治療」と診断された患者は22%、直ちに命に関わると診断された患者は皆無でした。

つまり、実際には約80%の患者に対して、西洋医学の立場では即座の治療が不要だったのです。とは言え、その80%の患者の中でも、何かしらの治療や内服薬の処方を望む人は珍しくありません。

さて、西洋医学的に不整脈への最も安全な治療薬としては「β遮断薬」があります。しかし、それでも深刻な副作用が生じる恐れはあり、実証患者に対しては有効でも、特に虚証患者への処方は推奨されません。

一方、漢方薬はどうでしょうか。動悸や不整脈に有効な漢方薬は多種多様で、患者の体質(虚実)によって使うべきものも異なります。

例えば、特定の実証患者には「柴胡加竜骨牡蠣湯」が処方され、反対に虚証が顕著な患者には「小建中湯」などが有効です。つまり、漢方薬の秘訣は体質に合わせた“使い分け”と言えるでしょう。実際、前述した臨床データでは、冷静な西洋医学的診療と、正しい漢方薬の併用の結果、95%以上の患者に改善効果が認められました。

ただし、動悸に対して使われる漢方薬(炙甘草湯、甘麦大棗湯など)には血圧を上昇させる作用などもあり、循環器疾患を抱える人は慎重な検査も定期的に受けることが肝要です。

参照元:山崎武俊, ”動悸/不整脈に対する漢方治療の有効性”, 洛和会音羽病院 心臓内科, 2015.10.27

 

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