致死性不整脈と遺伝子異常との関連性

生命の原理を遺伝子やDNAなどの分野から解明する、分子遺伝学や分子生物学が発展したことで、不整脈などの病気にも遺伝子異常との関連性があると分かってきました。特に、突然死を招く疾患である「致死性不整脈」を引き起こす症候群の中にもまた、そのような遺伝子異常を起因とする症状があるようです。

遺伝子異常とは

さて、それでは「遺伝子異常」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。 そもそも動物や植物など全ての生物の中は、「DNA」とよばれる物質が一定の規則で糸のようにつながった状態で無数に存在しています。そしてその“規則性”こそが、あらゆる生命現象を発現させる“情報”となるのです。 一方の「遺伝子」とは、ある特定の性質を司るDNAの“まとまり”です。 つまり、遺伝子が生体情報をまとめた「生命の設計図」であるとすれば、DNAとはそれを書く為の「文字」であると言えるでしょう。

遺伝子は原則として親から子へ、子から孫へと伝わります。しかしその時、遺伝子の情報に誤りが生じていれば、完成する肉体にも異常が現れやすくなります。そして、もしも仮に「特定の病気になりやすい遺伝子」が存在したとすれば、それを持っている家系の人々は、他の人々に比べて“その病気”になりやすい可能性が高いでしょう。それがつまり「遺伝病」です。

遺伝子異常が致死性不整脈を引き起こす仕組み

特定の遺伝子が、直接的に致死性不整脈を引き起こす場合もあるかも知れません。しかし、一般的に致死性不整脈に関わる遺伝子異常とは、致死性不整脈を引き起こす様々な病気の原因となる遺伝子の変異を指します。そして遺伝子異常により発症する、致死性不整脈の“引き金”には、「先天性・後天性QT延長症候群(LQTS)」などが挙げられます。

例えばLQTSに関連する遺伝子「KCNQ1」や「KCNQ2」に異常が生じ、LQTSが発症した結果、致死性不整脈を引き起こす、という流れです。そしてこの場合、広義には「KCNQ1」などは致死性不整脈に関わる遺伝子とも言えるでしょう。

ただし、ここで注意しなければならないことは、異常遺伝子を持っているからといって、必ずしも病気を発症するとは限らず、その遺伝子が確実に子へ遺伝するとも限らないということです。 遺伝子は人の肉体や病気にとって非常に重要ですが、それだけで人の体質や寿命などが全て決まるのではないことも、忘れてはならない事実でしょう。

参照元:堀江稔, 致死性不整脈と遺伝子異常, 心臓突然死 最近の動向と対策

 

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