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血管の異常な収縮

心筋梗塞の大半は、動脈硬化や血栓などによって心臓の冠動脈と呼ばれる血管が狭くなったり、閉塞したりすることで起こります。そしてもうひとつ、血管が異常な収縮をおこす血管攣縮(れんしゅく)でも心筋梗塞が起こることがあるのです。

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心筋梗塞のもうひとつの原因、
血管攣縮とは?

血管攣縮とは、血管が突然けいれんをするように、異常に収縮する現象を言います。血管攣縮が起こると心臓の冠動脈の内腔が急に狭くなって血流が滞ったり、完全に詰まってしまうことで心筋梗塞を引き起こすのです。

 

なぜ血管が突然異常収縮するのか原因はわかっていません。コレステロール値が高いと起こる確率は高い傾向にありますが、健康な人にも起こるのが怖いところ。動脈硬化が進んでいる血管でこの異常収縮が起こると、すでに血管が狭くなっているため、小さな異常収縮でも血流が滞り、命に関わる場合もあります。

 

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なぜ血管の異常収縮が起こるのか?

何が原因となって血管攣縮が起こるのかはわかっていませんが、そのメカニズムは解明されています。

 

血管は平滑筋細胞(筋肉)でできていて、人間がどのような動き(動作)をしたとしても、その状態は一定に保たれるようになっています。細胞はカルシウムイオン(Ca2+)で動くのが生物の原則。ところが、血管の攣縮は平滑筋細胞のカルシウムイオン(Ca2+)の異常増加では引き起こされません。このことは、細胞質のカルシウムイオン(Ca2+)の測定で実証されています。

 

つまり、血管の異常収縮(血管攣縮)は、生物の原則では説明できない現象なのです。

 

しかし近年、山口大学小林誠教授のチームの研究により、細胞膜を構成する脂質の一種から作られる“SPC(スフィンゴシルホスホリルコリン)”という物質が、血管の異常収縮を引き起こす酵素を活性化させる働きがあることが解明されました。

 

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血管攣縮が起こるとどうなる?

心臓で血管の異常収縮(攣縮)が起こると、冠動脈が狭くなり、酸素や栄養が心臓に運ばれなくなります。すると、20~30分で心筋梗塞が起こり、その部分の筋肉が壊死してしまいます。一度壊死した部分は元には戻らず、その状態が続くと約45分で死亡に至ってしまいます。自覚症状としては、胸の締め付けられるような痛み肩から腕にかけての痛みが起こり、息苦しさや動悸を伴うことも多いようです。人によっては、お腹に痛みを感じることもあるようです。

 

ちなみに、脳で血管の異常収縮(攣縮)が起こると、5分で大脳皮質がダメージを受け、時間がたつごとに脳の中へとダメージが広がり、最終的に脳幹までダメージを受けると死に至ってしまいます。

 

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血管攣縮の代表的な事例
「くも膜下出血」

血管攣縮でよく知られているのが、くも膜下出血の発症後に起こる合併症です。

 

くも膜下出血を起こしてから3日目から2~3週間までの間に、脳の血管が異常収縮して血液の流れが悪くなるという合併症で、くも膜下出血をおこした方の30~70%に現れるとされています。怖いのは、くも膜下出血の発症直後ではなく、やっと回復してきたと思ったころに起きること。

 

脳血管攣縮により意識状態が悪くなったり、手足のマヒや言語障害が悪化したり、程度によっては、脳梗塞を起こして死に至ることもあるのです。

 

現状の治療としては、攣縮の起こった場所や程度にもよりますが、脳の血管の攣縮を抑える薬剤を投与して症状を緩和させる処置などを行います。

 

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高血圧や狭心症も
血管の攣縮が原因?

狭心症は、痛みが長く続く心筋梗塞に比べて、数分間だけ心臓が痛くなるのが特徴です。

 

動脈硬化による狭心症は、運動したときに酸素不足で血流が少なくなる労作性狭心症です。このケースに攣縮が加わると、完全に血流が遮断され命にかかわるのが怖い点です。

 

これに対して、血管攣縮が原因で起こる狭心症は、安静時にも起こることから、安静時狭心症と呼ばれています。これは動脈硬化によるものと異なり、安静にしているときには異常がわからないので、予防のしようがないのが現状です。

 

高血圧で病院の薬を飲んでいるが、あまり効果が出ないという場合、血管の異常収縮による高血圧の疑いがあります。これは、軽い血管攣縮が全身で起きている状態です。
いずれにしても、気になる症状がある場合、専門の病院で検査をすることをおすすめします。

 

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血管の異常収縮を
予防する方法はあるのか

近年、山口大学小林誠教授のチームの研究により、細胞膜を構成する脂質の一種から作られる“SPC(スフィンゴシルホスホリルコリン)”という物質が、血管の異常収縮を引き起こす酵素を活性化させる働きがあることが解明されました。

 

そして、血管攣縮を起こすメカニズムを阻害する物質を探していたところ、イワシなどの青魚に多く含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)が血管攣縮を防ぐ効果があることを突き止めました。従来の治療法では、正常な血管収縮をも抑制するしか方法がなく、血圧の低下や副作用が免れませんでしたが、EPAは異常な攣縮のみ阻害することが臨床実験でわかっています。

 

通常、生魚に存在しているEPAは、エネルギー状態が強く流動性のある立体構造(シス体)をしており、血管攣縮に対する高い抑制効果があります。しかし、加熱することでこの立体構造が崩れると抑制効果も弱くなります。

 

小林教授のチームでは、EPAの立体構造をこわさないように、抽出精製する方法も生みだしました。これは小林式EPAと呼ばれています。

>>小林式EPAについて調べてみる<<